文学座アトリエの会「TERRA NOVA」
2004年9月22日文学座アトリエ 19時開演 Aブロック5番下手側最前列
信濃町の片隅にひっそり浮かび上がる「文学座」の看板。相変わらずレトロでいい雰囲気のアトリエ公演。
ほぼ円形の舞台を取り囲む客席。セットは殆どなく、雪原をイメージさせるまっさらな舞台。
コアな演劇ファンを中心に比較的オトナの客層。
1910年、スコット大佐はテラ・ノヴァ号に乗って南極探検に出発。5人の英国隊は450キロの重いそりを人力で引き、1年半後、苦難の末に南極点に到達。しかし、そこにはアムンゼン率いるノルウェー隊が「一ヶ月も前に」打ちたてた国旗が立つ。失意の5人は帰路に。しかし全員が遭難死という悲劇が待ち受ける。
アムンゼンとの南極点初到達競争に破れ、極寒の大地に倒れたスコット隊の悲劇。スコットが死の直前までつけていた日記に基づく、その「世界最悪の旅」を描くのがこの芝居。いまから30年前に書かれたとは思えない素晴らしい本。ちなみに脚本はあの「羊たちの沈黙」のテッド・タリー。
スコット 隊長、海軍大佐 …… 今井 朋彦
ウィルソン 医師 …… 大滝 寛
オーツ 陸軍大尉 …… 古川 悦史
エヴァンズ 海軍兵曹 …… 横田 栄司
バワーズ 海軍大尉 …… 助川 嘉隆
アムンゼン …… 菅生 隆之
キャスリーン (スコット夫人) …… 高橋 礼恵
南極点到達競争、といえば日本人もからんでます。この芝居には全くからみませんが、それは、そう、かの白瀬中尉。「大和雪原」を命名したエピソードはつとに有名。スコットと対象的に勇気ある撤退に救われるも、南極探検で作った莫大な借金を返済する余生というのが、また泣かせるなあ・・・・。
このあたりの話は、「マンガ世界の歴史」「マンガ日本の歴史」「マンガ発明・発見」等々を小学生の時の入院生活の折に愛読していた私には、もう、たまらないモチーフ。まあ、全部「マンガ」なんですが。とにかく個人的には完璧にツボ!
劇作の素晴らしさ、役者全員ののどっしりとした安定感に支えられた濃密な舞台。小さな空間に出現した広大で厳しいブリザードの世界に存分にのめり込む。
今井さんの正確な演技がスコットのリーダーとしての立場と苦悩をシャープに映し出し。舞台を観るたびに思うけど、この人の芝居は全く乱れない、ぶれない。
古川さんの芝居が全体を引き締める。オーツ大尉は気持ちの動きが微妙かつ最も繊細なので、非常に難しいポジション。見せ場をきっちり決めて、舞台をぐっと自分に引き寄せる力量。さすがです。
さて、横田さん。見目麗しい分、後半の人格崩壊っぷりがなかなか強烈。いやあ、しかし手を伸ばせば触れることが出来る超至近距離で拝見しても、全く隙のない男っぷり。ガジラ(国粋主義者・・・)での短髪・軍服も凛々しかったけど、やっぱりあのふんわりした長髪が素敵!ていうか、無条件で好きだ!!
シンプルで流れるような場面展開。欲を言えばもうすこしメリハリや構成に作りこみが欲しいところだけど、新人演出家だそうで、許す。休憩10分をはさんで約3時間の舞台で、あれだけの緊張感を維持できたことは十分に評価。
場内の空調がひざ掛けを配られる位寒かったのは効果?
信濃町の片隅にひっそり浮かび上がる「文学座」の看板。相変わらずレトロでいい雰囲気のアトリエ公演。
ほぼ円形の舞台を取り囲む客席。セットは殆どなく、雪原をイメージさせるまっさらな舞台。
コアな演劇ファンを中心に比較的オトナの客層。
1910年、スコット大佐はテラ・ノヴァ号に乗って南極探検に出発。5人の英国隊は450キロの重いそりを人力で引き、1年半後、苦難の末に南極点に到達。しかし、そこにはアムンゼン率いるノルウェー隊が「一ヶ月も前に」打ちたてた国旗が立つ。失意の5人は帰路に。しかし全員が遭難死という悲劇が待ち受ける。
アムンゼンとの南極点初到達競争に破れ、極寒の大地に倒れたスコット隊の悲劇。スコットが死の直前までつけていた日記に基づく、その「世界最悪の旅」を描くのがこの芝居。いまから30年前に書かれたとは思えない素晴らしい本。ちなみに脚本はあの「羊たちの沈黙」のテッド・タリー。
スコット 隊長、海軍大佐 …… 今井 朋彦
ウィルソン 医師 …… 大滝 寛
オーツ 陸軍大尉 …… 古川 悦史
エヴァンズ 海軍兵曹 …… 横田 栄司
バワーズ 海軍大尉 …… 助川 嘉隆
アムンゼン …… 菅生 隆之
キャスリーン (スコット夫人) …… 高橋 礼恵
南極点到達競争、といえば日本人もからんでます。この芝居には全くからみませんが、それは、そう、かの白瀬中尉。「大和雪原」を命名したエピソードはつとに有名。スコットと対象的に勇気ある撤退に救われるも、南極探検で作った莫大な借金を返済する余生というのが、また泣かせるなあ・・・・。
このあたりの話は、「マンガ世界の歴史」「マンガ日本の歴史」「マンガ発明・発見」等々を小学生の時の入院生活の折に愛読していた私には、もう、たまらないモチーフ。まあ、全部「マンガ」なんですが。とにかく個人的には完璧にツボ!
劇作の素晴らしさ、役者全員ののどっしりとした安定感に支えられた濃密な舞台。小さな空間に出現した広大で厳しいブリザードの世界に存分にのめり込む。
今井さんの正確な演技がスコットのリーダーとしての立場と苦悩をシャープに映し出し。舞台を観るたびに思うけど、この人の芝居は全く乱れない、ぶれない。
古川さんの芝居が全体を引き締める。オーツ大尉は気持ちの動きが微妙かつ最も繊細なので、非常に難しいポジション。見せ場をきっちり決めて、舞台をぐっと自分に引き寄せる力量。さすがです。
さて、横田さん。見目麗しい分、後半の人格崩壊っぷりがなかなか強烈。いやあ、しかし手を伸ばせば触れることが出来る超至近距離で拝見しても、全く隙のない男っぷり。ガジラ(国粋主義者・・・)での短髪・軍服も凛々しかったけど、やっぱりあのふんわりした長髪が素敵!ていうか、無条件で好きだ!!
シンプルで流れるような場面展開。欲を言えばもうすこしメリハリや構成に作りこみが欲しいところだけど、新人演出家だそうで、許す。休憩10分をはさんで約3時間の舞台で、あれだけの緊張感を維持できたことは十分に評価。
場内の空調がひざ掛けを配られる位寒かったのは効果?
ミス・サイゴン
2004年9月21日 帝国劇場 1F0列42番 センターブロックやや後方寄。
平日・17時15分開演という時間にもかかわらず、老若男女で超満員。
再三公言するとおり、和製ミュージカルは苦手・・・なんだけど、クオリティの高いものやはりイイのだ!ということで行ってきました。12年ぶりのミス・サイゴン。
今日のプリンシパル・キャストは、
エンジニア 市村正親 キム 松たか子
クリス 井上芳雄 ジョン 岡幸二郎
エレン 高橋由美子 トゥイ 泉見洋平
ジジ 高島みほ
陥落直前のサイゴン。フランス系ベトナム人−通称エンジニアが経営するキャバレーでは毎晩アメリカのGIたちが一夜の快楽を求め、また彼らにすがることでしか生活の糧を得ることができぬ女たちと、「ミス・サイゴン」選びの乱痴気騒ぎが繰り返されている。
この戦争に大きな疑問を持つアメリカ兵・クリス、戦禍ですべてを失い、生きるすべを求めて、この店に働きにでたキム・・・二人の出会いはすぐに恋に変わる。ささやかだが幸せにキムとクリスはともに暮らし始める。
お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、米兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂く。
エンジニアと共にバンコクに逃れ、クリスがいつの日か迎えに来てくれると信じながら懸命に生きるキム。そしてクリスの帰国後に生まれた彼との子・タム。キムにとっては、タムだけが唯一の希望、そして生きる力だった。
それを知らず、母国アメリカでベトナム戦争の後遺症に苦しみながら連夜悪夢にうなされるクリス。やがて、彼は新しい人生を始めるためにエレンと結婚する。しかし戦友・ジョンから、キムが生きていること、そしてキムと彼の子供の存在を聞かされる。
愕然とするクリス。
キムとクリスの運命の糸をあやつりながら、したたかに「アメリカン・ドリーム」を追い求めるエンジニア。キムに会うために、バンコクを訪れるクリスとエレン、そしてジョン。
キムの願いは、タムをアメリカに渡らせ豊かな未来を作ってあげること。その為に、キムは自らの命をかける。
キム・松たか子。きれいに歌うことだけならもっとテクニックのある人は沢山いると思う。でも、全身からほとばしるあの魂の叫びは彼女だけのもの。やはり舞台の人。歌にしばられることなく、役者としてキムを演じ切る。
エンジニア・市村さん・・・12年経って老獪さを増したエンジニア。自由自在に自分をコントロールできる素晴らしい存在感。自分の欲望にまったく素直で、こずるく生き抜くエンジニア・・・だけど憎めない愛すべき人をそのままに。
クリス・井上芳雄。若々しく、精神的にもひよわな坊ちゃん兵のイメージにどんぴしゃり。勿論歌唱力は折り紙付。
・・・で、キムは3年もの間、強くたくましく生き延びながら、軟弱なアメ公クリスを一途に待つ訳なんだけど、それって、どうなんだ?さらにキムは命を賭してタムをクリスに託すけど、それだけの価値がクリス(アメリカ)にあったのか?という思いは払拭できず。
アメリカ人が抱く「アジア人女性観」というものがよくわかる作品。ビッグマネーと自由の国アメリカへみんなが憧れているという大前提も、これまたいかにも。12年経って、今、この時代に改めて観るとそれを深く感じる。
結局キムを救うことはできなかったクリスの姿は、そのままベトナムに対するアメリカの贖罪の姿に重なる。
作品の壮大さとストーリーの切なさに魅了され、それぞれの愛の深さと、それゆえの悲劇に涙を流すけれども、頭の片隅にはそうした、ちょっとした偏りがひんやりと横たわる。自分の12年の経験の積み重ねと社会状況の激しい変化が、舞台への視線をも変化させるということか。
平日・17時15分開演という時間にもかかわらず、老若男女で超満員。
再三公言するとおり、和製ミュージカルは苦手・・・なんだけど、クオリティの高いものやはりイイのだ!ということで行ってきました。12年ぶりのミス・サイゴン。
今日のプリンシパル・キャストは、
エンジニア 市村正親 キム 松たか子
クリス 井上芳雄 ジョン 岡幸二郎
エレン 高橋由美子 トゥイ 泉見洋平
ジジ 高島みほ
陥落直前のサイゴン。フランス系ベトナム人−通称エンジニアが経営するキャバレーでは毎晩アメリカのGIたちが一夜の快楽を求め、また彼らにすがることでしか生活の糧を得ることができぬ女たちと、「ミス・サイゴン」選びの乱痴気騒ぎが繰り返されている。
この戦争に大きな疑問を持つアメリカ兵・クリス、戦禍ですべてを失い、生きるすべを求めて、この店に働きにでたキム・・・二人の出会いはすぐに恋に変わる。ささやかだが幸せにキムとクリスはともに暮らし始める。
お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、米兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂く。
エンジニアと共にバンコクに逃れ、クリスがいつの日か迎えに来てくれると信じながら懸命に生きるキム。そしてクリスの帰国後に生まれた彼との子・タム。キムにとっては、タムだけが唯一の希望、そして生きる力だった。
それを知らず、母国アメリカでベトナム戦争の後遺症に苦しみながら連夜悪夢にうなされるクリス。やがて、彼は新しい人生を始めるためにエレンと結婚する。しかし戦友・ジョンから、キムが生きていること、そしてキムと彼の子供の存在を聞かされる。
愕然とするクリス。
キムとクリスの運命の糸をあやつりながら、したたかに「アメリカン・ドリーム」を追い求めるエンジニア。キムに会うために、バンコクを訪れるクリスとエレン、そしてジョン。
キムの願いは、タムをアメリカに渡らせ豊かな未来を作ってあげること。その為に、キムは自らの命をかける。
キム・松たか子。きれいに歌うことだけならもっとテクニックのある人は沢山いると思う。でも、全身からほとばしるあの魂の叫びは彼女だけのもの。やはり舞台の人。歌にしばられることなく、役者としてキムを演じ切る。
エンジニア・市村さん・・・12年経って老獪さを増したエンジニア。自由自在に自分をコントロールできる素晴らしい存在感。自分の欲望にまったく素直で、こずるく生き抜くエンジニア・・・だけど憎めない愛すべき人をそのままに。
クリス・井上芳雄。若々しく、精神的にもひよわな坊ちゃん兵のイメージにどんぴしゃり。勿論歌唱力は折り紙付。
・・・で、キムは3年もの間、強くたくましく生き延びながら、軟弱なアメ公クリスを一途に待つ訳なんだけど、それって、どうなんだ?さらにキムは命を賭してタムをクリスに託すけど、それだけの価値がクリス(アメリカ)にあったのか?という思いは払拭できず。
アメリカ人が抱く「アジア人女性観」というものがよくわかる作品。ビッグマネーと自由の国アメリカへみんなが憧れているという大前提も、これまたいかにも。12年経って、今、この時代に改めて観るとそれを深く感じる。
結局キムを救うことはできなかったクリスの姿は、そのままベトナムに対するアメリカの贖罪の姿に重なる。
作品の壮大さとストーリーの切なさに魅了され、それぞれの愛の深さと、それゆえの悲劇に涙を流すけれども、頭の片隅にはそうした、ちょっとした偏りがひんやりと横たわる。自分の12年の経験の積み重ねと社会状況の激しい変化が、舞台への視線をも変化させるということか。
早起き
2004年9月17日 現在朝7時。実は5時起床。いつもだとこのまま二度寝して結局ぎりぎりになるんだけど、何故か今日はぱっちりと目が覚めてしまう。
そんなわけで、愛用の土鍋で発芽玄米と白米1:1で炊いて朝ごはんを支度する。冷凍ゴハンをチンしてもいいんだけど、天気もいいし、折角のさわやかな早起きなので。青菜の味噌汁(いりこ+こぶ)、蕪の葉と大根の浅漬け、鶏つくねと蕪の煮物を薄味で。ごちそうさまでした。
これが毎日続けばいいんだけどねえ。
そんなわけで、愛用の土鍋で発芽玄米と白米1:1で炊いて朝ごはんを支度する。冷凍ゴハンをチンしてもいいんだけど、天気もいいし、折角のさわやかな早起きなので。青菜の味噌汁(いりこ+こぶ)、蕪の葉と大根の浅漬け、鶏つくねと蕪の煮物を薄味で。ごちそうさまでした。
これが毎日続けばいいんだけどねえ。
G2プロデュース「痛くなるまで目に入れろ」
2004年9月15日紀伊国屋ホール 14時開演 G列14番
作・演出G2・・・これに何度軽くがっかりさせられてきたことか。でも毎回観てしまうその理由は役者陣。今回も小劇場ファンならば必ず食いつく「豪華な」キャスティング。
汚い手を使って金を儲ける父親・晃(陰山泰)と、そんな父親に生活すべてを異常なまでに干渉されるその息子・将(山内圭哉)。語り部は親子に仕える執事・長谷川(久保田浩)。麻薬取引に大きなアナをあけられ、親子を追い掛ける弱小暴力団鰐淵組と、将の恋人や・友人・肇(中山祐一朗)までも巻き込んで物語は疾走し、将のもうひとつの人格の出現でさらなる悲劇が起こる。
時間が逆行する展開は悪くないし、話もそこそこ面白いと思うのに、この半端な、結局何も残らない感じは一体・・・。陰山さんの圧倒的な存在感と力量でなんとかかんとか舞台を引き締め、引っ張っている感じ。他の役者の魅力が全く引き出せていない。久ケ沢・久保田・曽世の使い方がお決まり過ぎで勿体無い。坂田さん、こんな感じでしたっけ???板についてないとはこのことか。
中山@阿佐スパ、「真昼のビッチ」での役どころとなんとなくダブる。今回の本はあてがきなんだろうけど、彼が将を演ったら狂いっぷりもさらにホラーめいて、よかったのでは?(でも、それだとホントに「阿佐スパ」になってしまうか。)
過去の小ネタを交えるのは痛々しい限り。「ゴーストライター」でもクボッティーvs腹筋の対決を無理やり押し込んでかなり痛々しかったけど、今回もまた細かくやってくれちゃいました。それはそのときの芝居だから面白いんで、単純に他の芝居にトッピングしたって何の効果もないと思うぞ。
でも、きっとまたG2プロデュース公演はなんだかんだ言いながらかなり楽しみにして観にいくんだろう・・・不思議なことだ。
作・演出G2・・・これに何度軽くがっかりさせられてきたことか。でも毎回観てしまうその理由は役者陣。今回も小劇場ファンならば必ず食いつく「豪華な」キャスティング。
汚い手を使って金を儲ける父親・晃(陰山泰)と、そんな父親に生活すべてを異常なまでに干渉されるその息子・将(山内圭哉)。語り部は親子に仕える執事・長谷川(久保田浩)。麻薬取引に大きなアナをあけられ、親子を追い掛ける弱小暴力団鰐淵組と、将の恋人や・友人・肇(中山祐一朗)までも巻き込んで物語は疾走し、将のもうひとつの人格の出現でさらなる悲劇が起こる。
時間が逆行する展開は悪くないし、話もそこそこ面白いと思うのに、この半端な、結局何も残らない感じは一体・・・。陰山さんの圧倒的な存在感と力量でなんとかかんとか舞台を引き締め、引っ張っている感じ。他の役者の魅力が全く引き出せていない。久ケ沢・久保田・曽世の使い方がお決まり過ぎで勿体無い。坂田さん、こんな感じでしたっけ???板についてないとはこのことか。
中山@阿佐スパ、「真昼のビッチ」での役どころとなんとなくダブる。今回の本はあてがきなんだろうけど、彼が将を演ったら狂いっぷりもさらにホラーめいて、よかったのでは?(でも、それだとホントに「阿佐スパ」になってしまうか。)
過去の小ネタを交えるのは痛々しい限り。「ゴーストライター」でもクボッティーvs腹筋の対決を無理やり押し込んでかなり痛々しかったけど、今回もまた細かくやってくれちゃいました。それはそのときの芝居だから面白いんで、単純に他の芝居にトッピングしたって何の効果もないと思うぞ。
でも、きっとまたG2プロデュース公演はなんだかんだ言いながらかなり楽しみにして観にいくんだろう・・・不思議なことだ。
今日のランチ
2004年9月14日 今日も残暑きびしい一日。
代官山のモンスーンカフェにてマレーシア風のチキンライス。海南鶏飯との違い・・・うーん、ソースの違い?
ライスの香りはそこそこよかったけど、ちょっとべたっと仕上がっているのと、肝心のチキンはもっとジューシーにお願いします。ああ、シンガポール「天天」が呼んでいる。
代官山のモンスーンカフェにてマレーシア風のチキンライス。海南鶏飯との違い・・・うーん、ソースの違い?
ライスの香りはそこそこよかったけど、ちょっとべたっと仕上がっているのと、肝心のチキンはもっとジューシーにお願いします。ああ、シンガポール「天天」が呼んでいる。
サムロータイレストラン
2004年9月12日 麻布十番のちいさなタイレストラン。店の前には無造作に置かれたサムロー(タイの三輪車)。麻布十番の古い4軒長屋の一角にあるので、うっかりすると通り過ぎてしまう。1Fはカウンターのみ、2Fにテーブル席。雑貨も売っています。ローカルの雰囲気をうまく取り入れながら、センスよくまとめられた可愛いインテリア。
空芯菜の炒め物・ヤムウーセン・海老のレモンソース炒め・トムヤムヌードルを頂く。全体の辛さはやや抑え目の、食べやすい味付け。ディープさはありませんが、気軽に立ち寄れるいいお店。
シンハーゴールドって、実は既にメーカー製造中止品なのね。あれが最後のゴールドだったのか・・・。
空芯菜の炒め物・ヤムウーセン・海老のレモンソース炒め・トムヤムヌードルを頂く。全体の辛さはやや抑え目の、食べやすい味付け。ディープさはありませんが、気軽に立ち寄れるいいお店。
シンハーゴールドって、実は既にメーカー製造中止品なのね。あれが最後のゴールドだったのか・・・。
THEガジラ「八月の狩」+ウーマンリブ「轟天vs港カヲル」
2004年9月8日 えーっと、今日もダブルヘッダーな訳です。しかしこのマチソワの組み合わせは我ながらかなり無茶苦茶ですね。
THEガジラ「八月の狩」
下北沢 ザ・スズナリ 14時開演 G列8番 前方センター
中年層を中心にかなり大人の客層。
最近どっぷりはまっている鐘下ワールド。今回公演は戦後左翼文学の旗手、金子光晴の「八月の狩」と「他国の死」を構成、脚本化。
「八月の狩」は朝鮮戦争における米軍の細菌戦の実態を、「他国の死」は朝鮮戦争において非戦闘員(国連軍の人夫)であった当時の日本人の姿を克明に描いている。
舞台上では全てが「訊問」という形で進行。あくまでも人夫として朝鮮戦争に参加した劇中の日本人の彼らは、帰国後「戦争に加担した者」として厳しく訊問される。なぜ、あなたは隣国に行ったのか?なぜ、何も知らないのか?
私が生まれるほんの10数年前に、「最前線ではなく」「戦闘行為はなく」「非戦闘地域だから安全だ」と言われて朝鮮半島に渡った日本人が居る。つい最近どこかで似たようなことを聞いたことはないか?
直接手は下していなくても、「イラクを見てもわかるように、私達はすでに「戦争に加担している」という鐘下氏のメッセージは舞台上で激しいエネルギーとなって観客を襲う。
役者、吉田朝さん、久しぶりに舞台で拝見。個人が大きな力によって押しつぶされ、狂う過程をぎりぎりと表現。
ぼんやりと考えていることを白日の下に曝される。結果、自分は全然考えてなんかいないということを知る。
ウーマンリブvol.8「轟天vs港カヲル」
ドラゴンロック!女たちよ、俺を愛してきれいになあれ
サンシャイン劇場 19時開演 8列12番 前方下手寄り
ずずずーん、と重くなったキモチを引きずりつつ、女子高生が若さを思いっきり売り物にしている街をすりぬけてやって来ましたサンシャイン劇場。ただでさえサンシャイン通りを歩くと気が滅入るのに、今日のこの気分でさらに加速。ちなみにセンター街とか歌舞伎町は全然平気なんだけど、どーも苦手。ここをターミナルにしていた学生時代のトラウマか?
作・演出:宮藤官九郎のウーマンリブ公演。大人計画・グループ魂のMC「港カオル」と、劇団☆新感線の「剣轟天」のキャラクター対決。もう、完全にお祭りです。楽しまないでどうします。
・・・憂国の思いはあっという間に遠く彼方へ。
入場時に表裏にカヲル・轟天それぞれの顔写真がプリントされた特大ウチワを手渡される。ジャニ系でよく見られるアレである。ちょっぴり観客参加型。
世界を股にかけて活躍するエンターテイナー・港カヲル(皆川猿時)。カヲルの妻(片桐はいり)は、愛人宅を渡り歩き、好き勝手をしているカヲルを殺害しようと画策。刺客として放ったのが、剣轟天(橋本じゅん)であった。カヲルの居場所を突き止めようと、世界中にいるカヲルの愛人を次々と倒し、ついにカヲルと対決する轟天・・・。
徹底してくだらな〜いことを真剣にやってる大人達が素敵。
じゅんさんの鍛えぬかれたカラダはとても40とは思えない。その徹底した馬鹿馬鹿しさもすばらしい!
クレジットされていなかった、阿部サダヲ君登場で大人計画ファンの興奮は頂点に。個人的には伊藤英明君のポートレイト(若き港カヲル)がツボ。さすがクドカン、人脈をフルに活用してます。
とはいえ轟天の扱いがコアな新感線ファンにはやや不満か?私はこの全く意味のない2時間を十分に笑い倒して楽しみましたが。
♪キミにジュースを買ってあげるうううう〜♪♪
THEガジラ「八月の狩」
下北沢 ザ・スズナリ 14時開演 G列8番 前方センター
中年層を中心にかなり大人の客層。
最近どっぷりはまっている鐘下ワールド。今回公演は戦後左翼文学の旗手、金子光晴の「八月の狩」と「他国の死」を構成、脚本化。
「八月の狩」は朝鮮戦争における米軍の細菌戦の実態を、「他国の死」は朝鮮戦争において非戦闘員(国連軍の人夫)であった当時の日本人の姿を克明に描いている。
舞台上では全てが「訊問」という形で進行。あくまでも人夫として朝鮮戦争に参加した劇中の日本人の彼らは、帰国後「戦争に加担した者」として厳しく訊問される。なぜ、あなたは隣国に行ったのか?なぜ、何も知らないのか?
私が生まれるほんの10数年前に、「最前線ではなく」「戦闘行為はなく」「非戦闘地域だから安全だ」と言われて朝鮮半島に渡った日本人が居る。つい最近どこかで似たようなことを聞いたことはないか?
直接手は下していなくても、「イラクを見てもわかるように、私達はすでに「戦争に加担している」という鐘下氏のメッセージは舞台上で激しいエネルギーとなって観客を襲う。
役者、吉田朝さん、久しぶりに舞台で拝見。個人が大きな力によって押しつぶされ、狂う過程をぎりぎりと表現。
ぼんやりと考えていることを白日の下に曝される。結果、自分は全然考えてなんかいないということを知る。
ウーマンリブvol.8「轟天vs港カヲル」
ドラゴンロック!女たちよ、俺を愛してきれいになあれ
サンシャイン劇場 19時開演 8列12番 前方下手寄り
ずずずーん、と重くなったキモチを引きずりつつ、女子高生が若さを思いっきり売り物にしている街をすりぬけてやって来ましたサンシャイン劇場。ただでさえサンシャイン通りを歩くと気が滅入るのに、今日のこの気分でさらに加速。ちなみにセンター街とか歌舞伎町は全然平気なんだけど、どーも苦手。ここをターミナルにしていた学生時代のトラウマか?
作・演出:宮藤官九郎のウーマンリブ公演。大人計画・グループ魂のMC「港カオル」と、劇団☆新感線の「剣轟天」のキャラクター対決。もう、完全にお祭りです。楽しまないでどうします。
・・・憂国の思いはあっという間に遠く彼方へ。
入場時に表裏にカヲル・轟天それぞれの顔写真がプリントされた特大ウチワを手渡される。ジャニ系でよく見られるアレである。ちょっぴり観客参加型。
世界を股にかけて活躍するエンターテイナー・港カヲル(皆川猿時)。カヲルの妻(片桐はいり)は、愛人宅を渡り歩き、好き勝手をしているカヲルを殺害しようと画策。刺客として放ったのが、剣轟天(橋本じゅん)であった。カヲルの居場所を突き止めようと、世界中にいるカヲルの愛人を次々と倒し、ついにカヲルと対決する轟天・・・。
徹底してくだらな〜いことを真剣にやってる大人達が素敵。
じゅんさんの鍛えぬかれたカラダはとても40とは思えない。その徹底した馬鹿馬鹿しさもすばらしい!
クレジットされていなかった、阿部サダヲ君登場で大人計画ファンの興奮は頂点に。個人的には伊藤英明君のポートレイト(若き港カヲル)がツボ。さすがクドカン、人脈をフルに活用してます。
とはいえ轟天の扱いがコアな新感線ファンにはやや不満か?私はこの全く意味のない2時間を十分に笑い倒して楽しみましたが。
♪キミにジュースを買ってあげるうううう〜♪♪
「男性の好きなスポーツ」・「狂言 ござるの座」
2004年9月1日ナイロン100℃ 26th SESSION「男性の好きなスポーツ」
本多劇場14時開演 1階K列4番 中段下手寄りから
女性を中心にいつものナイロンのお客さんで満員御礼。でも今日は中高年の方々が目立つ。なんだったんでしょう???
テーマはずばり「SEX」
援交・不倫に始まりEDに悩むおとーさんから飼育監禁まで、ありとあらゆるエロが描かれる。
テーマがテーマだけに、繰り出されるのは猥雑で生々しいエピソードばかり。台詞も当然直球。・・・なんだけど、ケラさん独特のシニカルタッチな笑いで突き抜けた疾走感があり、むしろ爽やかですらある。
自分専用の、愛のさまざまなカタチを探して、探して、探して。登場人物はみなもがき、自分探しをする。
ロマンチカのダンスがスパイシーでキュート。現実と妄想のボーダーラインに現れる魅惑的なミューズ。
相変わらずの長尺3時間20分。でも長さを全く感じさせない。
知らず知らず、自分の心のうちを覗き見る、没頭できる貴重な舞台。
人の数だけ、「自分にぴったりなSEX」が確かにある。
「狂言 ござるの座 32nd」
国立能楽堂 19時開演正面4列21番
一転して狂言でござる。
下北沢から千駄ヶ谷に移動。ナイロンの終演が17時30分(!)だったので、下北での夕食は断念。またまた国立能楽堂の食堂でカレーを食す。この懐かしい感じの「正しい日本のカレー」が結構好き。今度はハヤシを食べてみよう。
狂言「しびり」 太郎冠者 野村裕基 主 野村万作 後見 深田博治
どんどん成長する裕基君。元気一杯の太郎冠者に万作師の愛にあふれた視線が印象的。まさにちいさな狂言師。
狂言「箕被」 夫 野村萬斎 妻 石田幸雄 後見 高野和憲
夫婦のわびさびの曲。静かで美しい狂言ではあるけど、もうちょっとしっとりした感じが欲しかったか。
狂言「煎物」 煎物売り 野村萬斎 当人 深田博治
太郎冠者 野村万作
立衆 野村万之介 高野和憲 月崎晴夫 竹山悠樹
後見 野村良乍
とにかく謡と舞でにぎやか。こんなに楽しい曲とは知りませんでした。役者も楽しんで演じているのが感じられる、一体感のある舞台に満足。
本多劇場14時開演 1階K列4番 中段下手寄りから
女性を中心にいつものナイロンのお客さんで満員御礼。でも今日は中高年の方々が目立つ。なんだったんでしょう???
テーマはずばり「SEX」
援交・不倫に始まりEDに悩むおとーさんから飼育監禁まで、ありとあらゆるエロが描かれる。
テーマがテーマだけに、繰り出されるのは猥雑で生々しいエピソードばかり。台詞も当然直球。・・・なんだけど、ケラさん独特のシニカルタッチな笑いで突き抜けた疾走感があり、むしろ爽やかですらある。
自分専用の、愛のさまざまなカタチを探して、探して、探して。登場人物はみなもがき、自分探しをする。
ロマンチカのダンスがスパイシーでキュート。現実と妄想のボーダーラインに現れる魅惑的なミューズ。
相変わらずの長尺3時間20分。でも長さを全く感じさせない。
知らず知らず、自分の心のうちを覗き見る、没頭できる貴重な舞台。
人の数だけ、「自分にぴったりなSEX」が確かにある。
「狂言 ござるの座 32nd」
国立能楽堂 19時開演正面4列21番
一転して狂言でござる。
下北沢から千駄ヶ谷に移動。ナイロンの終演が17時30分(!)だったので、下北での夕食は断念。またまた国立能楽堂の食堂でカレーを食す。この懐かしい感じの「正しい日本のカレー」が結構好き。今度はハヤシを食べてみよう。
狂言「しびり」 太郎冠者 野村裕基 主 野村万作 後見 深田博治
どんどん成長する裕基君。元気一杯の太郎冠者に万作師の愛にあふれた視線が印象的。まさにちいさな狂言師。
狂言「箕被」 夫 野村萬斎 妻 石田幸雄 後見 高野和憲
夫婦のわびさびの曲。静かで美しい狂言ではあるけど、もうちょっとしっとりした感じが欲しかったか。
狂言「煎物」 煎物売り 野村萬斎 当人 深田博治
太郎冠者 野村万作
立衆 野村万之介 高野和憲 月崎晴夫 竹山悠樹
後見 野村良乍
とにかく謡と舞でにぎやか。こんなに楽しい曲とは知りませんでした。役者も楽しんで演じているのが感じられる、一体感のある舞台に満足。
T.Y. Harbor brewery
2004年8月29日 生憎の雨、しかも寒い。天王洲のはじっこにあるこの店はオープン当時からの大のお気に入りだった。とはいえ、なかなか来る機会がなくて本当にご無沙汰。
久しぶりに来てみても、やっぱり明るくて雰囲気のいい空間。晴れてたら絶対テラスだ。ここはのんびり過ごすランチもおすすめ。夜景は所詮「運河」だから、実際は写真で見るほどではないんだけど、それもまた味があって好き。
ビールはIndia Pale Aleがホップの苦味と華やかな香りがバランスよく、かなり美味しかったのでリピート。
ゴルゴンゾーラ、モッツァレラ、パルメジャーノ、リコッタチーズにフレッシュバジルの4種類のチーズのピッツァがヒット。
一皿のポーションが多いので、どうしても二人だといろいろ食べられないのが玉に傷。
うーん、やはり大好きな店だと再認識。
久しぶりに来てみても、やっぱり明るくて雰囲気のいい空間。晴れてたら絶対テラスだ。ここはのんびり過ごすランチもおすすめ。夜景は所詮「運河」だから、実際は写真で見るほどではないんだけど、それもまた味があって好き。
ビールはIndia Pale Aleがホップの苦味と華やかな香りがバランスよく、かなり美味しかったのでリピート。
ゴルゴンゾーラ、モッツァレラ、パルメジャーノ、リコッタチーズにフレッシュバジルの4種類のチーズのピッツァがヒット。
一皿のポーションが多いので、どうしても二人だといろいろ食べられないのが玉に傷。
うーん、やはり大好きな店だと再認識。
ヴァイブレータ
2004年8月26日 寺島しのぶが数々の女優賞を総なめした作品。最近邦画回帰しているので手にとってみた。
不眠と過食に悩まされる31歳のフリーライター・玲(寺島しのぶ)は、深夜のコンビニで長距離トラックの運転手・岡部(大森南朋)と出会う。気持ちの赴くままにそのトラックで一夜を過ごす。新潟までの道中を共にし、そしてまた東京に戻るまでの4日間のお話。
玲が岡部によってカラダとココロを癒されていく過程は、殆どが狭いキャビンの中での会話劇で描かれる。それでいて、全体に広がりと厚みを感じるよくできたロードムービー。演出も極めて抑え目。長回しのカメラがドライな印象。
寺島しのぶ、なんつーか「チョコレート」におけるハリー・ベリーの様な心の紡ぎ出し方。非日常的な出来事のなかで、とにかく素のままの表情や生々しい欲求が前面に打ち出されていて見事。「リアルな30歳のカラダ」がなんともいい。背骨が美しく淋しげ。
なかでも街道沿いのラブホのお風呂のシーンは、ぐっときます。すべての疲れや心の固まりを溶かし、洗い流してくれるかのような岡部の優しさ。子供のような玲。
大森南朋、ほんとこの人は変幻自在。今回はとにかく徹底して色っぽい男を体現。本能でやさしくできる男・・・確かに岡部の佇まいや表情には玲ならずともはっと惹かれる。
この映画、30代・仕事も順調でそれなりに責任のある立場・趣味もあって貯金もある、でも「未婚・子無し」・・・まあ、酒井順子女史言うところの「負け犬」には激しく共感を呼んでいるらしい。
私も大きく言えばそのカテゴリーに入るんだろうけど、「ああ、これは私!私なの!!」・・・と、いれこむほどではない。ちょっと醒めた目線で観てしまう。天邪鬼なんでしょうか、それとも案外と飢餓感がないんでしょうかね。最近不眠傾向ではあるけど。
でも、岡部との「行きずり」と言ってもいい衝動的な交わりによって「自分がちょっといいものになった」と玲が感じるラストには感応。
自分のありようを確認するために人を傷つけたり、自分をわざと傷つけたりするのは全く愚かしいことだけれど、玲の衝動は自己再生のための陣痛のような。
不眠と過食に悩まされる31歳のフリーライター・玲(寺島しのぶ)は、深夜のコンビニで長距離トラックの運転手・岡部(大森南朋)と出会う。気持ちの赴くままにそのトラックで一夜を過ごす。新潟までの道中を共にし、そしてまた東京に戻るまでの4日間のお話。
玲が岡部によってカラダとココロを癒されていく過程は、殆どが狭いキャビンの中での会話劇で描かれる。それでいて、全体に広がりと厚みを感じるよくできたロードムービー。演出も極めて抑え目。長回しのカメラがドライな印象。
寺島しのぶ、なんつーか「チョコレート」におけるハリー・ベリーの様な心の紡ぎ出し方。非日常的な出来事のなかで、とにかく素のままの表情や生々しい欲求が前面に打ち出されていて見事。「リアルな30歳のカラダ」がなんともいい。背骨が美しく淋しげ。
なかでも街道沿いのラブホのお風呂のシーンは、ぐっときます。すべての疲れや心の固まりを溶かし、洗い流してくれるかのような岡部の優しさ。子供のような玲。
大森南朋、ほんとこの人は変幻自在。今回はとにかく徹底して色っぽい男を体現。本能でやさしくできる男・・・確かに岡部の佇まいや表情には玲ならずともはっと惹かれる。
この映画、30代・仕事も順調でそれなりに責任のある立場・趣味もあって貯金もある、でも「未婚・子無し」・・・まあ、酒井順子女史言うところの「負け犬」には激しく共感を呼んでいるらしい。
私も大きく言えばそのカテゴリーに入るんだろうけど、「ああ、これは私!私なの!!」・・・と、いれこむほどではない。ちょっと醒めた目線で観てしまう。天邪鬼なんでしょうか、それとも案外と飢餓感がないんでしょうかね。最近不眠傾向ではあるけど。
でも、岡部との「行きずり」と言ってもいい衝動的な交わりによって「自分がちょっといいものになった」と玲が感じるラストには感応。
自分のありようを確認するために人を傷つけたり、自分をわざと傷つけたりするのは全く愚かしいことだけれど、玲の衝動は自己再生のための陣痛のような。
劇団四季「マンマ・ミーア」
2004年8月25日 四季劇場「海」18:30開演 1階7列16番
センターブロック前方やや下手寄り。
やっぱり和製ミュージカルは苦手・・・なんだけど、急に観たくなって急遽オークションでチケットゲット。
四季は12.3年位前は盛んに見ていた。一体何年ぶりなんだろうか。
開演前にカレッタ汐留の「鼎泰豐」へ。5時過ぎだというのに結構な繁盛ぶり。小籠包と蝦蒸餃のハーフで勿論ビール。お一人様のお通りだい!というわけで、カップル・家族連れで賑わうなか、ひとりまったりと飲茶タイムを過ごす。
この小籠包、確かに美味しい。でもなんか「そこそこ」って感じが否めない。皮が薄くてスープが透けて見えるあたりがで魅惑的なんだけど、いつ食べても火傷するくらいのアツアツじゃないんだよねえ・・・。むしろ蝦蒸餃のほうがアツアツうまうまで良かった。
台北の本店に行ってみたいもんだ。横浜・新宿・汐留と食べたけど、どーもしっくりこないんだもん。
さて、ミュージカルの舞台はエーゲ海、ギリシャの小島。ホテルを一人で切り盛りするシングルマザーのドナ、そして結婚式を明日に控え、普通の幸せな暮らしを夢見る20歳の娘ソフィ。母親の昔の日記を盗み読みし、父親の可能性アリと見込んだ3人の男に自分の結婚式の招待状を送るソフィ。しかし現れた3人全員が「自分が父親だ」と名乗りを上げる・・・という、ロマンティック・コメディ。
全編ABBAの曲で構成されたいわゆる「カタログ・ミュージカル」。心配した日本語詞もうまく乗せているので十分楽しめました。
名優・保坂知寿@ドナ、久しぶりに拝見しましたが貫禄がでて素晴らしい存在感。低音でありながらつややかに響く声質もドナのイメージにぴったりでとにかくカッコイイ。鍛えることは必要だなあ、と中年を目の前にしてしみじみ反省。
台詞部分の四季メソッドの発声法はやっぱり鼻に付く感じで苦手だけど、舌滑が悪くて何言ってるかわかんないよりは数段ましか。
もう何といっても曲の魅力の勝利。ドナたち3人の元シンガーが歌う「Dancing Queen」「Super Trouper」は最高に盛り上がるし、ご存知「Chiquitita」「Gimme! Gimme! Gimme!」は言わずもがな。大好きな「S.O.S.」がうまく使われているのでさらに◎。
ドナが自分の人生を回想しながらソフィにウェディングドレスを着せてあげるシーンが切ない。
ラストは結構意外な展開でほろり。ドナ、20年もサムを待っていたのね。強気で陽気なドナが迷いつつサムのプロポーズを受ける。I DO,I DO,I DO,I DO,I DO 〜♪
(ああ、また涙腺が・・・)
アンコールは例のド派手な衣装で踊りまくり。当然「Mamma mia!」と「Dancing Queen」でスタンディング。
確かにショーアップ的要素が目をひくけど、幸せの形は人それぞれで、自分で探さないと見つからない。人生いろいろあるけど、それって最高だよ、というメッセージに多くの人が共感しているのだろうと思う。
うーん、ロンドンに行きたくなってきた。
センターブロック前方やや下手寄り。
やっぱり和製ミュージカルは苦手・・・なんだけど、急に観たくなって急遽オークションでチケットゲット。
四季は12.3年位前は盛んに見ていた。一体何年ぶりなんだろうか。
開演前にカレッタ汐留の「鼎泰豐」へ。5時過ぎだというのに結構な繁盛ぶり。小籠包と蝦蒸餃のハーフで勿論ビール。お一人様のお通りだい!というわけで、カップル・家族連れで賑わうなか、ひとりまったりと飲茶タイムを過ごす。
この小籠包、確かに美味しい。でもなんか「そこそこ」って感じが否めない。皮が薄くてスープが透けて見えるあたりがで魅惑的なんだけど、いつ食べても火傷するくらいのアツアツじゃないんだよねえ・・・。むしろ蝦蒸餃のほうがアツアツうまうまで良かった。
台北の本店に行ってみたいもんだ。横浜・新宿・汐留と食べたけど、どーもしっくりこないんだもん。
さて、ミュージカルの舞台はエーゲ海、ギリシャの小島。ホテルを一人で切り盛りするシングルマザーのドナ、そして結婚式を明日に控え、普通の幸せな暮らしを夢見る20歳の娘ソフィ。母親の昔の日記を盗み読みし、父親の可能性アリと見込んだ3人の男に自分の結婚式の招待状を送るソフィ。しかし現れた3人全員が「自分が父親だ」と名乗りを上げる・・・という、ロマンティック・コメディ。
全編ABBAの曲で構成されたいわゆる「カタログ・ミュージカル」。心配した日本語詞もうまく乗せているので十分楽しめました。
名優・保坂知寿@ドナ、久しぶりに拝見しましたが貫禄がでて素晴らしい存在感。低音でありながらつややかに響く声質もドナのイメージにぴったりでとにかくカッコイイ。鍛えることは必要だなあ、と中年を目の前にしてしみじみ反省。
台詞部分の四季メソッドの発声法はやっぱり鼻に付く感じで苦手だけど、舌滑が悪くて何言ってるかわかんないよりは数段ましか。
もう何といっても曲の魅力の勝利。ドナたち3人の元シンガーが歌う「Dancing Queen」「Super Trouper」は最高に盛り上がるし、ご存知「Chiquitita」「Gimme! Gimme! Gimme!」は言わずもがな。大好きな「S.O.S.」がうまく使われているのでさらに◎。
ドナが自分の人生を回想しながらソフィにウェディングドレスを着せてあげるシーンが切ない。
ラストは結構意外な展開でほろり。ドナ、20年もサムを待っていたのね。強気で陽気なドナが迷いつつサムのプロポーズを受ける。I DO,I DO,I DO,I DO,I DO 〜♪
(ああ、また涙腺が・・・)
アンコールは例のド派手な衣装で踊りまくり。当然「Mamma mia!」と「Dancing Queen」でスタンディング。
確かにショーアップ的要素が目をひくけど、幸せの形は人それぞれで、自分で探さないと見つからない。人生いろいろあるけど、それって最高だよ、というメッセージに多くの人が共感しているのだろうと思う。
うーん、ロンドンに行きたくなってきた。
スターライトパスポート
2004年8月23日 小雨模様の中、仕事を終えて、ディズニーシーに向かう。お目当ては新しいショーの「ブラビッシーモ」
待ち合わせをしてエントランスにたどり着いたのは19時50分頃。ぎりぎりセーフ。夏休みなので、平日夜とはいえ、結構な混雑ぶり。
ミッキーはオープニングにちょっと登場するだけ。ロスのランドで見たファンタズミックばりの演出を期待していたけど、そういう意味ではちょっと肩透かしかな。あの水の使い方は素晴らしかったな〜。
水の精と火の精は別々のところで暮らしていました。お互いに出会うこともありませんでした。でも、ある日・・・。
このモチーフに完全にヤラれてしまいました。でもストーリーをいじることはなく、言ってみればモチーフ提起した後は単なる火と水のショー。でもハーバーを目一杯使った仕掛けは迫力があって圧倒されます。
水と火は相容れない。惹かれあっていても、お互い寄り添うこともままならない二人。でもミッキーの魔法で奇跡が起きる・・・というのを期待していたのね。実は。大人向けのディズニーシーならではの展開を期待したんですが。
火の精のデザインはちょっとラピュタのロボット兵っぽいかな。
強くなった雨のなか、インディジョーンズと、センターオブジアースをそれぞれ30分待ち程度で乗って、22時の閉演時間。ディズニーシー、オトナ買いってところでしょうか。
でもすごく楽しかった。久しぶり(と、いっても半年ぶりくらいか)のディズニーシーだったし。いや、ひょっとして一人で勝手に楽しんでいたのかもしれないなあ、やや反省。
恵比寿に戻ってこっちは本当に久しぶりに「松玄」へ。以前の強気な営業態度が一変して、フツーの蕎麦居酒屋になってた。あ、でも蕎麦食べなかった。
待ち合わせをしてエントランスにたどり着いたのは19時50分頃。ぎりぎりセーフ。夏休みなので、平日夜とはいえ、結構な混雑ぶり。
ミッキーはオープニングにちょっと登場するだけ。ロスのランドで見たファンタズミックばりの演出を期待していたけど、そういう意味ではちょっと肩透かしかな。あの水の使い方は素晴らしかったな〜。
水の精と火の精は別々のところで暮らしていました。お互いに出会うこともありませんでした。でも、ある日・・・。
このモチーフに完全にヤラれてしまいました。でもストーリーをいじることはなく、言ってみればモチーフ提起した後は単なる火と水のショー。でもハーバーを目一杯使った仕掛けは迫力があって圧倒されます。
水と火は相容れない。惹かれあっていても、お互い寄り添うこともままならない二人。でもミッキーの魔法で奇跡が起きる・・・というのを期待していたのね。実は。大人向けのディズニーシーならではの展開を期待したんですが。
火の精のデザインはちょっとラピュタのロボット兵っぽいかな。
強くなった雨のなか、インディジョーンズと、センターオブジアースをそれぞれ30分待ち程度で乗って、22時の閉演時間。ディズニーシー、オトナ買いってところでしょうか。
でもすごく楽しかった。久しぶり(と、いっても半年ぶりくらいか)のディズニーシーだったし。いや、ひょっとして一人で勝手に楽しんでいたのかもしれないなあ、やや反省。
恵比寿に戻ってこっちは本当に久しぶりに「松玄」へ。以前の強気な営業態度が一変して、フツーの蕎麦居酒屋になってた。あ、でも蕎麦食べなかった。
新選組!
2004年8月22日 ついに山南が切腹。ああ〜もうあの堺さんの笑顔には会えないのねえ。当初はあの声質とルックスが違和感あったけど、次第に「山南」になってきて・・・。
それにしても、その潔さやよし。のんきにアイロンかけながら見てたんだけど、案の定号泣してしまいました。介錯が沖田というのも、お互いの心情を察するとぐっときます。
山南と明里の別れも脚本の優秀さを感じ。明里を身請けした山南の気持ちを思うと、そうそれだけで泣けます。
土方と近藤が嗚咽するラスト、素晴らしい。あの二人をあそこまでぐしゃぐしゃに男泣きさせるとは。新撰組の今後の進む道を思うと、さらに胸に迫るものあり。
今日は旧暦の七夕。石垣島では灯りを消して、星空を楽しんでいるらしい。いいなあ、いいなあ、満天の星。
それにしても、その潔さやよし。のんきにアイロンかけながら見てたんだけど、案の定号泣してしまいました。介錯が沖田というのも、お互いの心情を察するとぐっときます。
山南と明里の別れも脚本の優秀さを感じ。明里を身請けした山南の気持ちを思うと、そうそれだけで泣けます。
土方と近藤が嗚咽するラスト、素晴らしい。あの二人をあそこまでぐしゃぐしゃに男泣きさせるとは。新撰組の今後の進む道を思うと、さらに胸に迫るものあり。
今日は旧暦の七夕。石垣島では灯りを消して、星空を楽しんでいるらしい。いいなあ、いいなあ、満天の星。
冬ソナ最終回
2004年8月21日 ついに最終回。なんだかんだ言って、結局見てしまった。
ヨン様、ラストの「不可能な家」でのシーンは魅力大爆発。世の中のおば様たちの号泣が聞こえてきそうです。うう、こわい。
幸せなときでも一貫して暗い表情のユジンには全く魅力を感じないんだけど、ここまでヒロインを評価できないドラマもめずらしい。なんでユジンがあんなにモテるのかさっぱり理解できん。
とにかく吹き替えがサイアクだったので、今度はDVDで字幕で見てみたい。そのほうが集中できるかも。
ヨン様、ラストの「不可能な家」でのシーンは魅力大爆発。世の中のおば様たちの号泣が聞こえてきそうです。うう、こわい。
幸せなときでも一貫して暗い表情のユジンには全く魅力を感じないんだけど、ここまでヒロインを評価できないドラマもめずらしい。なんでユジンがあんなにモテるのかさっぱり理解できん。
とにかく吹き替えがサイアクだったので、今度はDVDで字幕で見てみたい。そのほうが集中できるかも。
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
2004年8月20日 ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、グゥイネス・パルトロウに大好きなベン・ステイラー&オーウェン・ウィルソンという豪華キャスト。観よう観ようとおもいつつ、結局今頃になってDVDを借りてきた。
一言で言えば、「放蕩親父の家族再生物語」・・・なんだけど、設定がぶっとんでて、シュール。何しろ幼くして大成功を収めた元天才三兄弟と元敏腕弁護士(しかし破産)放蕩親父、再婚間近に思えるしっかりものの母親の家族だ。
過剰な感情を排除する細切れの場面展開。でも全体を包むのは奇妙な明るさと、テネンバウム家だけ時間が止まったかのような空気。
家族はそれぞれに問題を抱え、しかもてんでばらばら。このばらばらさ加減が容赦ない。家族の会話で何度も出てくるのが「What are you talking about?!」相手を理解しようとする前に、まずは「あんた何言ってんの?!」まずはこっちを理解してよ、なのだ。
父権失墜・母の再婚・人種問題・友人はドラッグでいかれてる・養女である姉への恋・・・エピソードが細かくて、ニヤッとさせられる場面も数々。コメディのようで、ドラマのようで、でもどっちでもない。結構重いテーマなのに、全くそれを感じさせない。なぜだかハッピーな気分になる。きっちり作りこまれた独特の世界観も魅力。
ジーン・ハックマンがこんなにコメディタッチの役にはまるとは驚き。愛すべきダメ親父ぶり。ラストはうっかり泣ける。
ベン・ステイラーの「微妙」な存在感はさすが。相変わらず格好いいんだか、三枚目なんだか。アディダスのジャージ(なんと喪服バージョンもある)似合いすぎ。
オーウェン、「ズーランダー」の時のびしっと鍛え抜かれたモデル体型が見事にゆるゆるなカラダに。ショックなような、でもそこがまたちょっと笑える。
一言で言えば、「放蕩親父の家族再生物語」・・・なんだけど、設定がぶっとんでて、シュール。何しろ幼くして大成功を収めた元天才三兄弟と元敏腕弁護士(しかし破産)放蕩親父、再婚間近に思えるしっかりものの母親の家族だ。
過剰な感情を排除する細切れの場面展開。でも全体を包むのは奇妙な明るさと、テネンバウム家だけ時間が止まったかのような空気。
家族はそれぞれに問題を抱え、しかもてんでばらばら。このばらばらさ加減が容赦ない。家族の会話で何度も出てくるのが「What are you talking about?!」相手を理解しようとする前に、まずは「あんた何言ってんの?!」まずはこっちを理解してよ、なのだ。
父権失墜・母の再婚・人種問題・友人はドラッグでいかれてる・養女である姉への恋・・・エピソードが細かくて、ニヤッとさせられる場面も数々。コメディのようで、ドラマのようで、でもどっちでもない。結構重いテーマなのに、全くそれを感じさせない。なぜだかハッピーな気分になる。きっちり作りこまれた独特の世界観も魅力。
ジーン・ハックマンがこんなにコメディタッチの役にはまるとは驚き。愛すべきダメ親父ぶり。ラストはうっかり泣ける。
ベン・ステイラーの「微妙」な存在感はさすが。相変わらず格好いいんだか、三枚目なんだか。アディダスのジャージ(なんと喪服バージョンもある)似合いすぎ。
オーウェン、「ズーランダー」の時のびしっと鍛え抜かれたモデル体型が見事にゆるゆるなカラダに。ショックなような、でもそこがまたちょっと笑える。
鈍獣 DON-JU
2004年8月18日 パルコ劇場19時開演 H列23番上手ブロックセンター寄り
3週間振りの芝居。それだけでもう十分嬉しいのに、池田・古田・生瀬の揃い踏み。加えて脚本クドカン、演出河原。これ以上どうしろというのだ、という組み合わせ。満漢全席みたいな舞台。しかし、こういうのに限って期待しすぎるせいか、妙に不満だったりするからやや不安でもある。
場内満席。案外ご高齢のご婦人方もお友達同志で多数来場。関係者かしら??
脚本、結構ユルイ。凸やんの執着する由縁をもっと描き込んで欲しかった。でもそれでは「なんとなくコワく」「不愉快な」感じが薄れるので計算づくなユルさなんだろうけど。なんか、長塚君あたりが描きそうなダークサイドの世界観だったな。クドカンの新境地と言われるのも納得。
ダンボールが空っぽか、凸やんが悪夢のごとく現れるか、どっちかしかないと思ってたら、そうか、そうしますか。ん〜どうかなあ・・・。
そういったユルさを三人の力技でねじ伏せた感じの舞台。演出がもっと軽やかでシャープだったら、と思うと非常に惜しい。でも濃い役者芝居を堪能して満足満足。生瀬さんがああいう芝居をするのって、初めて見たかもしれない。
女優陣も大健闘。西田尚美ちゃんは期待通りだったけど、意外や意外、他二名の存在感があって今後に期待大。こないだのどこぞのモデルあがりに比較したらもう、佇まいといい、声といい全然いいぞ。啖呵はああいうふうに切ってもらわないと、ねえ。
帰宅後、余韻にひたりつつ、昨日届いた焼酎を飲む。ていうか、今飲んでます。確かに「馥郁たる」という表現が相応しい美酒。麦焼酎なの?と思うような香り。もうちょっとまるいとさらに好みかな。ホワイトラムのような、奥に秘めたシャープさがある。
3週間振りの芝居。それだけでもう十分嬉しいのに、池田・古田・生瀬の揃い踏み。加えて脚本クドカン、演出河原。これ以上どうしろというのだ、という組み合わせ。満漢全席みたいな舞台。しかし、こういうのに限って期待しすぎるせいか、妙に不満だったりするからやや不安でもある。
場内満席。案外ご高齢のご婦人方もお友達同志で多数来場。関係者かしら??
脚本、結構ユルイ。凸やんの執着する由縁をもっと描き込んで欲しかった。でもそれでは「なんとなくコワく」「不愉快な」感じが薄れるので計算づくなユルさなんだろうけど。なんか、長塚君あたりが描きそうなダークサイドの世界観だったな。クドカンの新境地と言われるのも納得。
ダンボールが空っぽか、凸やんが悪夢のごとく現れるか、どっちかしかないと思ってたら、そうか、そうしますか。ん〜どうかなあ・・・。
そういったユルさを三人の力技でねじ伏せた感じの舞台。演出がもっと軽やかでシャープだったら、と思うと非常に惜しい。でも濃い役者芝居を堪能して満足満足。生瀬さんがああいう芝居をするのって、初めて見たかもしれない。
女優陣も大健闘。西田尚美ちゃんは期待通りだったけど、意外や意外、他二名の存在感があって今後に期待大。こないだのどこぞのモデルあがりに比較したらもう、佇まいといい、声といい全然いいぞ。啖呵はああいうふうに切ってもらわないと、ねえ。
帰宅後、余韻にひたりつつ、昨日届いた焼酎を飲む。ていうか、今飲んでます。確かに「馥郁たる」という表現が相応しい美酒。麦焼酎なの?と思うような香り。もうちょっとまるいとさらに好みかな。ホワイトラムのような、奥に秘めたシャープさがある。
華氏911
2004年8月17日 恵比寿ガーデンシネマの先行公開は大変な混雑であったらしい。お盆休みも明けた今日なら、午後の回にすべりこめるだろうと思って10時過ぎにややねぼけ気味のすっぴん顔をぶらさげてチケットブースに。余裕をみて3時の回のチケットを購入。整理番号は19番。
2館とも常に満員御礼。平日だからか年齢層は高め。おばさまのグループが目立つ。おじさまのお一人様もぱらぱらと。
前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」と比較すると、よりムーア氏の視線のフィルターが厚い。事実をまっすぐに積み上げるという印象はそれほどでもなく、むしろテクニックを駆使して効果的に構成され直している。でも彼らしい仕掛けは沢山あり。
ムーア氏は「すべての戦争に反対」している訳ではない。この映画で彼ははっきりと「テロリストどもはやっつければいいじゃんか!」と言っているのだ。でも、利権に踊らされ、無関係な国を攻撃するブッシュには強烈にNOを唱える。
そして前作から一貫しているのは「恐怖心が人を操作する」という点。この恐怖心を利用して国民を煽り続ける事に対する強烈な批判。
そんなこと知ってるよ、という感想はおそらく日本人だから。
アメリカにはアメリカ国民向けの「大本営発表」が存在するのだなあと感じ入る。こんなにネットが発達した世の中で、だ。日本と同様に、新聞も読まず、本も買わず、TVでしか世の中の動きに触れない人が圧倒的多いのか。
公民だったか、政経だったか。アメリカ大統領選挙は間接選挙でありながら、国民の総意に基づく、と習った気がする。でも、日本みたいに住民票登録さえしていれば、勝手に投票券が郵送されて来るわけじゃない。
まずは選挙投票申し込みカードを提出してから、はじめて選挙民リストに登録され、投票できる。さすが自由の国。選挙権を行使するには、まずは「わたしは選挙に投票します」という意思表示が必要なのだ。
しかしこの選挙民登録は国民の半部程度だそうだ。しかも、登録をしていないのはマイノリティだったり、貧困層の人だったり。自分の生活でぎりぎりな人たちが殆どだ。
2000年の大統領選挙の時には、アフリカ系アメリカンの投票申し込みカードが破棄されたという記事も読んだことがある。
でもって、そういう人達から軍隊に勧誘され、派兵へ。
おそらくは、ムーア氏の狙いも「選挙民登録」の拡大によるブッシュ降ろしであろうから、この映画も一種のプロパガンダであるのは否めないと思う。そのクササも感じなくはない。そんなわけで、ドキュメンタリーとしては「ボウリング・・・」に軍配を上げたくなる。
まあ、そんなことはどーでもいい。大衆の目を覚まそうという試みは大成功だ。実際私もこうして考えているんだから。
でも、私達は昔からそんなアメリカが大好きだ。東京を焼け野原にされ、ヒロシマ・ナガサキに原爆を落とされようと、占領統治時代があろうとも、沖縄に基地があろうとも、とにかく好きになった。特にハワイ、もう国民的に愛しちゃってる。
こういうお人よしな国民感情は極めて特殊なのか?激しいブーイングを受けた中国でのサッカーの試合。批判もあるだろうが、あれだってごく当たり前の感情ではないのか。
彼らの4割がいまだに「9/11はイラクのせい」「大量破壊兵器、絶対隠してる」と信じるように、私達は平和ボケするように知らず知らずに操作されてはいないか?
2館とも常に満員御礼。平日だからか年齢層は高め。おばさまのグループが目立つ。おじさまのお一人様もぱらぱらと。
前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」と比較すると、よりムーア氏の視線のフィルターが厚い。事実をまっすぐに積み上げるという印象はそれほどでもなく、むしろテクニックを駆使して効果的に構成され直している。でも彼らしい仕掛けは沢山あり。
ムーア氏は「すべての戦争に反対」している訳ではない。この映画で彼ははっきりと「テロリストどもはやっつければいいじゃんか!」と言っているのだ。でも、利権に踊らされ、無関係な国を攻撃するブッシュには強烈にNOを唱える。
そして前作から一貫しているのは「恐怖心が人を操作する」という点。この恐怖心を利用して国民を煽り続ける事に対する強烈な批判。
そんなこと知ってるよ、という感想はおそらく日本人だから。
アメリカにはアメリカ国民向けの「大本営発表」が存在するのだなあと感じ入る。こんなにネットが発達した世の中で、だ。日本と同様に、新聞も読まず、本も買わず、TVでしか世の中の動きに触れない人が圧倒的多いのか。
公民だったか、政経だったか。アメリカ大統領選挙は間接選挙でありながら、国民の総意に基づく、と習った気がする。でも、日本みたいに住民票登録さえしていれば、勝手に投票券が郵送されて来るわけじゃない。
まずは選挙投票申し込みカードを提出してから、はじめて選挙民リストに登録され、投票できる。さすが自由の国。選挙権を行使するには、まずは「わたしは選挙に投票します」という意思表示が必要なのだ。
しかしこの選挙民登録は国民の半部程度だそうだ。しかも、登録をしていないのはマイノリティだったり、貧困層の人だったり。自分の生活でぎりぎりな人たちが殆どだ。
2000年の大統領選挙の時には、アフリカ系アメリカンの投票申し込みカードが破棄されたという記事も読んだことがある。
でもって、そういう人達から軍隊に勧誘され、派兵へ。
おそらくは、ムーア氏の狙いも「選挙民登録」の拡大によるブッシュ降ろしであろうから、この映画も一種のプロパガンダであるのは否めないと思う。そのクササも感じなくはない。そんなわけで、ドキュメンタリーとしては「ボウリング・・・」に軍配を上げたくなる。
まあ、そんなことはどーでもいい。大衆の目を覚まそうという試みは大成功だ。実際私もこうして考えているんだから。
でも、私達は昔からそんなアメリカが大好きだ。東京を焼け野原にされ、ヒロシマ・ナガサキに原爆を落とされようと、占領統治時代があろうとも、沖縄に基地があろうとも、とにかく好きになった。特にハワイ、もう国民的に愛しちゃってる。
こういうお人よしな国民感情は極めて特殊なのか?激しいブーイングを受けた中国でのサッカーの試合。批判もあるだろうが、あれだってごく当たり前の感情ではないのか。
彼らの4割がいまだに「9/11はイラクのせい」「大量破壊兵器、絶対隠してる」と信じるように、私達は平和ボケするように知らず知らずに操作されてはいないか?
「夢見る力」
2004年8月12日 幻のプレミアム焼酎・・・だそうだ。国産二条大麦に名水での仕込み、ラムのような甘い香り、通販のみの限定300本というキャッチにまんまと乗って、迷わず注文。2950円也。届くのが楽しみ。
シェフと素顔と、おいしい時間
2004年8月11日 DVDさらに観る。ほんと、殆どなんにもない、あきれた夏休み。休養だけは十分。でも微妙に寝不足な感じ。なんでだ。
シャルル・ド・ゴール空港を舞台にしたロマンティック・コメディ。エステティシャンのローズ(ジュリエット・ビノシュ)と冷凍食品会社を経営する元シェフのフェリックス(ジャン・レノ)。この二人が、悪天候とストで空港に足止めされ、出会う。
空港を舞台に、ってあたりが個人的にかなりツボ。「ラブ・アクチュアリー」も舞台の軸はヒースローだし。
でも残念ながら、二人が心を寄せ合う過程がいまひとつ。ジャン・レノが何日も寝てないやつれ方、さらに神経質な感じで、別人のよう。でもそれもまた素敵なんだけど。
料理する喜びを思い出すシェフと、素顔の魅力と自分をとりもどすエステティシャン。もっとこのあたりを描き込んで欲しかった。
シャルル・ド・ゴール空港を舞台にしたロマンティック・コメディ。エステティシャンのローズ(ジュリエット・ビノシュ)と冷凍食品会社を経営する元シェフのフェリックス(ジャン・レノ)。この二人が、悪天候とストで空港に足止めされ、出会う。
空港を舞台に、ってあたりが個人的にかなりツボ。「ラブ・アクチュアリー」も舞台の軸はヒースローだし。
でも残念ながら、二人が心を寄せ合う過程がいまひとつ。ジャン・レノが何日も寝てないやつれ方、さらに神経質な感じで、別人のよう。でもそれもまた素敵なんだけど。
料理する喜びを思い出すシェフと、素顔の魅力と自分をとりもどすエステティシャン。もっとこのあたりを描き込んで欲しかった。
ジョゼと虎と魚たち
2004年8月10日 DVDが出たので借りた。
ジョゼのハンディは形を変えて、きっと誰しもが抱えている。彼女のハンディは自分には肉体的に置き換えることのできないシチュエーションなのにもかかわらず、だ。
見てるときは、案外そうでもない。さらさらと時が流れ、暮らしがあり、二人は別れる。
ところが、見終わった後に、じわじわ、じわじわ、どっかーんと何かがこみ上げる。ボディブローのような映画。
切なさ?うーん、ちょっと違うか。なんだろう。
「帰れ言うたくらいで帰るヤツは、帰れ」
このシーン、ジョゼの弱さと強さが同居してて、観ててひりひりする。そしてその後も。
キスシーンの多い映画だけど、あの求め合う感じは心に響く。
恒夫とジョゼが心から求め合っていたことがわかるキスだった。「ほんとうはもっと早くこうしたかった」というお互いのすこやかな欲求がストレートに伝わる。他のキスシーンとは全く違う。妻夫木君、このあたりの表現力が抜群にいい。
「うち、好きや。あんたのしてくれること、好きや。」
ジョゼの生きてきた道筋を思うといろいろ思うところはあるけど、女ならこの台詞、よくわかる。そう、そうなんだよね。
そして恒夫の背中がなくなったとき、ジョゼは電動車椅子で颯爽と街を走りぬけ、自分のためだけに一切れの魚を焼く。凛とした表情のジョゼ。あんなにも怖がった虎にも自分ひとりで会いにいくだろう。
陰山泰さんをはじめ脇の役者がとにかく曲者揃いで素晴らしい。西田シャトナーなんか、芝居好きには絶妙。
でもなんだかそのへんを語るのもおっくうになる。
ジョゼのハンディは形を変えて、きっと誰しもが抱えている。彼女のハンディは自分には肉体的に置き換えることのできないシチュエーションなのにもかかわらず、だ。
見てるときは、案外そうでもない。さらさらと時が流れ、暮らしがあり、二人は別れる。
ところが、見終わった後に、じわじわ、じわじわ、どっかーんと何かがこみ上げる。ボディブローのような映画。
切なさ?うーん、ちょっと違うか。なんだろう。
「帰れ言うたくらいで帰るヤツは、帰れ」
このシーン、ジョゼの弱さと強さが同居してて、観ててひりひりする。そしてその後も。
キスシーンの多い映画だけど、あの求め合う感じは心に響く。
恒夫とジョゼが心から求め合っていたことがわかるキスだった。「ほんとうはもっと早くこうしたかった」というお互いのすこやかな欲求がストレートに伝わる。他のキスシーンとは全く違う。妻夫木君、このあたりの表現力が抜群にいい。
「うち、好きや。あんたのしてくれること、好きや。」
ジョゼの生きてきた道筋を思うといろいろ思うところはあるけど、女ならこの台詞、よくわかる。そう、そうなんだよね。
そして恒夫の背中がなくなったとき、ジョゼは電動車椅子で颯爽と街を走りぬけ、自分のためだけに一切れの魚を焼く。凛とした表情のジョゼ。あんなにも怖がった虎にも自分ひとりで会いにいくだろう。
陰山泰さんをはじめ脇の役者がとにかく曲者揃いで素晴らしい。西田シャトナーなんか、芝居好きには絶妙。
でもなんだかそのへんを語るのもおっくうになる。