明日の今頃は

2004年5月16日
 明日からベルギー一人旅。会社をきっかり定時であがって、直接成田に。
 今回はなんだか妙に荷物が少ない・・・なんでだ。着替えも最低限だし、いつもの常夏シンガポールよりはるかにコンパクトな旅支度。なんかわすれてないか?自分。
 ま、パスポートとチケットとバウチャーさえあればなんとかなるか。いつもの街歩きも、ちょっとだけスローペースにのんびりしてきます。
 本日も休日を存分に使った芝居日和でございます。

Theガジラ「国粋主義者のための戦争寓話」

ベニサンピット 14時開演 55席(中段センター)から。
140席ほぼ満員。年齢層高めかつ幅広な感じ。

 ベニサンピットで鐘下作品・・・ええ、そりゃもうぐっと暗く、重いのを覚悟の上観に行きましたとも。

 一瞬たりとも目が離せない二時間。笑いなんて当然一切無く、あふれる台詞を受け止める集中力が必要。それでも空間を十二分に生かしきった、演出と役者の力量に圧倒され、身じろぎできないほど。悲劇に心地よく巻きこまれようなんて甘い。

 横田栄司さん、その美しい容姿と声があまりにも正しく、真っ当な感じで、序盤ちょっとした違和感を感じるが、実はこの集団のなかでの「異質」を浮き立たせる結果に。テーマが明確になり、「出自」にこだわる少尉の人格が一気に放り出された感のある後半の布石となる。
 若松さん、出るだけですっと場の空気を支配する狂気。まさにシャーマン的存在感。
 神野さん、コメディエンヌとしても最高だけど、実はこの人の声はからからと通るわけではなくて、湿り気を帯びた、セクシャルな魅力があるのね。土に生きる神の巫女か。今回はシャープで美しいルックスは秘めたまま、その声を生かして要所をきっちりとおさえる好演。
 戦争をモチーフにしてはいるものの、戦争そのものを描くわけでなく、誰もが持つさまざまな暴力性や狂気を焙り出す。必見!

ダンダンブエノ「バナナが好きなひと」

青山円形劇場19時開演 ア列8番(1列目センター)

 えー、ガジラの後にこの芝居。バランスとしてはどうなんでしょうかね〜。

 東京公演初日。ホールはメジャーな方々からの生花の香でむせかえるほど。さすがですねえ。

 円形だけど、ふつーにステージ組んで、アリーナ部分にも客席を設ける。で、座席はびっくり正面どまんなか。ありがとうG2。
 ゆるゆると流れる日常。でも、さっちゃんやペスにとっては全てが非・日常。何がいい!と特筆するものは特にないけど、ほんわかとした時間を共有。
 中井貴一はやっぱり中井貴一。中井貴一でしかあり得ない。ミキプルーン。それがいいのか悪いのか。舞台では初見。しかし案外いい「はずしかた」するのな。本人がリズムよく、楽しんで演じているのが感じられて、それが心地よい。
 温水さん、小学5年生って、確かにあんな感じもアリ。でもあれだと低学年だと思うぞ。もう今の5年生は結構大人だもんねえ。あ、でも設定が昭和40年代っぽかったからあれでOKなのか。まんまちびまるこちゃんの世界。
 全体にとにかくゆるいけど、それが不愉快じゃないのは芸達者な皆さんだからか。
 とにかく橋幸夫、最高。
 
 

来週からBelgium

2004年5月11日
 来週の今頃はブルージュで中世ロマンしている訳だ。

 フランス語即席漬けも一向に進まず。ていうか、首都ブリュッセルはともかく、ブルージュとアントワープはオランダ語圏だよ・・・。
 
ユーロに両替。レートのタイミングはいまいちだったような。先週あたりで一瞬130円代に突入していたはず。失敗失敗。
 
 

 

le cocon

2004年5月9日
 雨の中並木橋に出向く。靴を気にしてか、歩く気分じゃないな〜という連れのちいさなわがままにおつきあいして、恵比寿からワンメーター。

 この店がオープンしたての頃からだから、3年ぶりくらいの訪問。エントランスの素敵さは健在。地下へのアプローチもわくわくする。そして相変わらず繭の中は狭く、全てが妙にチープなつくり。かと言って居心地悪いわけじゃない。日曜・夜9時前・雨と三拍子揃って、店内閑散。まあ、この手の店はこのくらいで丁度いいかも。
 以前は有無を言わさず出てきていたスタートのシャンパンはなくなっってた。
 前菜3種(鴨・タラモ・テリーヌだったか?)の盛り合わせ・鯛のカルパッチョ・帆立と海老のグリル・チーズを頂く。セミハード、もすこし個性的でもいいかなあ。スタッフに選んでもらったフルボディはカリフォルニア。これがなかなか美味しい。
  
 で、結局、帰りは小雨のなか恵比寿まで楽しく散歩して帰る。靴はいいのか?靴は。
 本多劇場J列14番。センターブロック後寄りから。場内超満員!

 スゴイ。ホールが花だらけ。松尾スズキもここまで来たか!という感じ。そして本日の客席もなんともゴーカでしたわ。

 酷い話、しかし終始笑える。大人計画ならではのキツサ・ねじれたエグサが無いのが「ニッソウヒ」って感じでしょうかね。
 秋山さん、つい先日まで新国立でマダムを演じていたのに、こっちも完璧な出来!くるくる変わる女優芝居。さすが・・・。
 本当にひさしぶりにトモロヲさんの芝居をみる。とにかくうさんくさいのがいい。やはりこうでなくては。
 仲村トオル、案外好演。案外いい空気感。
 小池栄子、むねデカ。
 
 カーテンコールはトリプル。最後の一回は松尾スズキを無理やり引っ張り出し。

 緩急ついた、安っぽい(よい意味で)芝居。うかうかしてると、そこここに胸にささる台詞がちりばめられ、なんとも絶妙なバランス。

論文

2004年5月4日
 ・・・昇進のための論文の期限が迫る。データは揃った!しかしどうもまとまらない。自分に必要のないテーマ(どーでもいいってことか)だからか。
 とにかく6日までに仕上げて、夜のニッソウヒの芝居を堪能できるように頑張るのみ。

 

下高井戸旭鮨本店

2004年5月1日
 ・・・とはいってもガーデンプレイスのね。本当は以前数回行ったZEST正面の「スシキュイジーヌ」の予定だったのだが、あっけなくつぶれてた。まあ、デザイナー系だったしそんなもんかも。寿司は結構まともだったし深夜営業店だったので、ちょっと惜しい。
 寿司モードだという連れ。いきなり「松栄」じゃあちょっとステージ高すぎか、ということでやってきましたYGP。
 なにもここで寿司食べんでも・・・という思っていたので、いつも素通り。しかし、これが案外に使い勝手のよい店であることが判明。カウンターに座ってしまうと眺望はゼロだけど。

 寿司はコミュニケーションの食べ物。カウンターで二人ってときは結構難しいときがあるけど、今日は美味く、かつ楽しく食事ができて大満足。

 ま、この場合何食べても楽しいんだろうが。おお、意味深だ。
 

久習會

2004年4月21日
国立能楽堂18時開演 正面2列8番

 仕舞「盛久」
 狂言「通圓」シテ 野村萬斎 ワキ高野和憲 アイ 竹山悠樹

 なかなか観る機会の少ない曲。茶を点てて点てて、点てきった!というか、むしろまだまだイケル!!感じでした。若さがでるんでしょうかねえ。

 能「角田川」シテ 荒木亮 ワキ宝生閑 ワキツレ 大日方寛

 能を観ていつも思う、シテ方が大抵おっさんまるだしで恰幅がよすぎるのはなぜか。はっきりいって美しくない。いや、もちろん型は確かに洗練されていて美しい。(と、思い込む自分)でもどうしたって節制しなさすぎだと・・・。果てしなく美しさを追求してほしいもんだ。
 狂言は萬斎師や茂山の若い方々が新しい客層を切り開いているが、そこをきっかけにした、新しいタイプの見所が能に接したとき、演者の「美しさ」がどう問われてくるのか。「美」を求道するのであれば、そのあたりに答えもあろうと思うがね。
 ともあれ、「角田川」はせつなく耽美的。余韻の残るすばらしい舞台であったと、日記には書いておこう。

丸香

2004年4月20日
 昨夜の飲み会の酔いと心の乱れを微妙にひきずりつつの夕方、神田神保町の「丸香」に行く。ひやかけ大+げそ天+れんこん天。

 実際うどんなんか食べてる場合じゃないのだ。でも食べるけど。ココロは乱れても、美味しいもんは食べたいのだ。
 
 まとわりつくむちむちのうどん。おいしい。ひやかけのだしはクリアだけど、私とはベストマッチではない感じ。すだちが50円ていうのもな〜。相方の「釜玉」は麺の相性もばっちりでインパクトあり。
 
 

新宿狂言

2004年4月15日
 スペースゼロ 10列8番センターブロック下手寄
場内満員。女性8割か。ちらほらおじさまも。

 「八句連歌」
     貧者 野村万作  何某 野村万之介
                 後見  高野和憲
               
 連歌が盛んだった中世のお話。このお二人ならではの息の合った掛け合い。贅沢。舞台後方には老松の代わりに枝垂れ桜。連歌がシルエットになる演出は、案外邪魔にならずに効果的。

 「花折」

    新発意 野村萬斎 住持  野村万之介
             参詣人 石田幸雄
                 高野和憲
                 竹山悠樹
                 石田淡朗
                 時田光洋
                後見  野村良乍

 幕開けと同時に御香が充満。それはいいんだけど焚きすぎだよ。五感に訴える演出とはいえ、ちょっとやりすぎ。装置もいまいち安っぽい。「狂言劇場」位あっさり、シンプルでもいいと思うけど。舞台も若干狭いのか、舞もなにやらこじんまりとした印象。 
 
 萬斎さん、最近のホール公演でのルーティンワークぶりとは打って変わって、今日は気が入っていたような。無邪気な新発意。謡も舞も、すばらしい存在感。新宿狂言だからか・・・?
 淡朗君、一時帰国?なんだか背も伸びたような。ちょっと不安定な声も、あの年齢では仕方ないことでしょう。このまま狂言を志すもよし。幅広く舞台で活躍するもよし。期待しています。
 
 

「狂言の世界」

2004年4月14日
 越谷サンシティホール 18時30分開演・1階4列35番から。置舞台ほぼ正面から。
 あいにくの小雨模様。大ホールは超満員。特等席売り切れの表示あり。さすがお猿さん効果。老若男女まぜこぜの客席。子供連れも目立つ。この子達が非常にマナーがよく、びっくり。
 第十回記念公演とのこと。しかし舞台装置が貧弱すぎる・・・柱はあちこち剥げてるし、老松もつぎはぎ。安普請。
 解説は石田師。さすがにお話慣れしていらっしゃるのでスムーズ。先日の松戸でも思ったけど、ちょっとお痩せになったような。

 「小傘」
 僧 野村万之介  田舎者 高野和憲
          新発意 野村萬斎
          参詣人 竹山悠樹 小宮正三 加藤 聡
          尼   石田幸雄 
                後見 野村 良乍

 ちょっとワルイ博打打ち、万之介さん。相変わらず憎めないですねえ。さらに小ずるい新発意も、引き算の存在感がよかった。

 「靭猿」
 大名 野村万作   太郎冠者 高野和憲
 猿曳 野村萬斎   子猿   野村裕基
                後見 竹山 悠樹

 なかなか機会に恵まれず、やっと見ることができました。おそらく披きよりは体力も筋力もついて、しっかりしたお猿さんだったと思います。後半ちょっと萬斎師の表情が厳しかったのは、初心者見所の気づかないところで上手くできなかったところがあるのかも。実際まったく気づかなかったけど。
 とにかく小猿かわいさで客席が盛り上がってしまって、万作師の台詞が聞きにくいところがあったのは残念。大ホールでもあり、しかたないですが。とはいえ、あの万来の拍手の快感に支えられて、裕基くんが大成することを期待。
            
 
 「透明人間の蒸気」マチネ。1階13列27番から。
 2回目の観劇。やっぱり「パンドラ」「オイル」の流れに無理に乗せているわけじゃないだろうと改めて思う。そんなのは観客の勝手な位置づけでしかないだろうに。ただ、本作は「NODAMAP作品」ではないというあたりにちょっと思うところアリ。
 初演当時、「ロミオとジュリエットが悲劇で終わったのはもう昔のことだ」と掲げていたサブタイトル(透が逃げ込んだ部屋)が存在しない今回は、確かにあのラスト改変、というかぶった切りの幕切れにも救いようのない現在を感じ。未来が見えないまま、手を取り合う透とケラ。悲劇のままの収束。

 新国立劇場・中劇場、という野田さんの現在のホームグラウンドを存分に使い切ったという意味で、演出上のアドバンテージがあったように思う。
 
 「LINX」青山円形劇場 Fブロック12番(最前列)
 これも13年前の再々演。これまた懐かしい。さとしさん、立ち姿も声もかっこいいですねえ。惚れ惚れ。初演の松重さんも今みたいに激ヤセする前で、「誰!この人?!」と思う独特の存在感でした。
 今回のキャストもキレがあって、5人の空気感も抜群。ヨタロウ氏、これぞZAZOU。どう考えてもヤバイ。最高です。声といい何年経っても謎のままのルックスといい。
 現実・非現実が非常に判りやすい演出。まさに唯脳主義。チェーンがちょいとマトリックスぽい?
 膜のようにうっすらと、でも絶対抜け出せない。腐敗直前まで熟した果実のような、皮一枚残した有機体のイメージか。円形劇場を存分に使い切った演出を堪能。
 
 舞台をはさんで対面に高橋・浅野のダム・ウェイターBバージョンチームが。仲良しさんな雰囲気で、なんだかとってもいい感じ。
 
 昨年末に見たG2プロデュース「止まれない12人」のDVDが届く。丁度その日にカメラが入っていたので、あのセットであの席ならちょっと映ってたりして〜などと思いつつ鑑賞。いやあ、newマシンの液晶17インチモニター、なかなかよろしい。
 どうやらマチネの画が殆どみたいで、ソワレで観た私が映りこむ訳もなく、ちょい残念。特典映像たっぷりで嬉しいけど、松永さんのレコ風景が無い。隠しコマンドを見つけられないだけか?三上艦長の笑顔ドアップにやられる。
 メインのカメラは雷神号、小須田さん@近藤側からしかなく、関さん@坂本側の映像がない・・・うーん、これもちょいと残念だ。

 明後日からの3連休に4本の芝居。充実の休日。もう一日お仕事がんばりましょ。
 関西の老舗「立身出世劇場」の最終公演「黄昏のカンガルーハイツ」を見るはずだった。もちろんチケット取っていた。でも仕事・・・いや、正確に言えば「仕事がらみの飲み会」でどうしてもどうしても行けない事が判明。ヤフオクにて売却。会社人のつらいところだけど、ねえ。。。とほほほ。
 
 
 結局チケット入手できず。当日券という手もあるけど、今回は断念。能も狂も演目が魅力的だったので悔しい〜。桜も案外良い感じで残ってるし、去年みたいに天気にはらはらしなくてもよさげなので、さらにさらに残念

 長年のお付き合いのMacが危篤状態なので、newマシン購入。安さとスペックでDELLに決定、安易だの〜自分。で、本日到着。こいつのセットアップで悔しさを晴らそうっと。

松戸・狂言の夕べ

2004年4月6日
松戸 森のホール21 小ホール い列11番より。
 「口真似」「六人僧」という演目に惹かれてプチ遠征。恵比寿からりんかい線新木場で乗り継ぎ、武蔵野線新八柱駅へ。うーん、どこなんだ、ここは!しかもさらにバス。丘の上に切り開かれた広大な敷地に立派なホールが。松戸、恐るべし。
 
 客層は学生っぽい女の子のグループ、地元のおばちゃんグループでほぼ満員。携帯鳴る鳴る。頼むから電源切ってくれ!!・・・そういえば、携帯電話・アラーム時計云々のアナウンスなかったかも。
 席は2列目のセンター。しかも何故か目の前の席が空席。という絶好のポジション。置舞台に柱の造作無し。揚幕無し。

 解説はふかたん。ん〜なんかまだるっこしいけど、許せる。このホールでは何度も公演をしてるので、あまり舞台にかからない曲も多いというお話に納得。でも極端に千葉西部に偏ってるよな、労音。千葉・八千代・習志野・松戸だもん。集中しすぎ。
 確かに、狂言を見なれているリピーターが多いかも。不自然な笑い(マンサイ殿、で笑うとかね)が少ないし、拍手のタイミングもお決まり。素直に笑って楽しんでいる感じ。
 
「口真似」太郎冠者 野村万作
       主  月崎晴夫 何某 野村万之介
          後見  竹山 悠樹

 とにかく「単純明快」な曲。万之介さん、打ち倒される型がつらそう・・・。膝をかばっていらっしゃるような。でもこの方は登場するだけでふうわりとしたあたたかな空気が流れるので、いつまでもお元気で舞台に立って欲しいものです。

「六人僧」夫 石田幸雄 夫 野村萬斎 
     夫 深田博治 妻 高野和憲 妻 竹山悠樹 
     妻 野村万之介 
            後見 野村良乍
 初見。初心者の私としては、未見の曲があるとこうして遠征してしまう訳で。出入りの激しい、なかなか面白い曲。
 萬斎さん、表情付けすぎ?突出気味の割に安定感に欠ける謡もちょっといただけない。なんだか波がありますねえ。先日の「ござるの座」での歌舞が素晴らしかっただけに、残念。ホールでの普及公演、もすこし減らして精進なされませ・・・と思うのは素人でしょうかね。せっかく生まれ持った「華」があるのだから、ねえ。
 
 たかのん妻、相変わらずいいですねえ。万作一門で、もっとも耳に届く声だと思う。深田・高野の台頭、さらにさらに期待。

透明人間の蒸気

2004年4月2日
 新国立劇場中劇場1階センターブロック13列37番から。
 その奥行き、ざっと40m、いやもっとか?はある舞台にまずびっくり。「贋作・桜・・・」も奥行きを生かした舞台に感動したけど、これはもう、なんというか、そのまんま砂丘。シンプルな劇空間、しかし十分な存在価値あり。床はダンボール。巻き段を一面に敷き詰めた感じ。歩くとざりざりっと足跡がつく。砂丘に残る無数の言霊(足跡)。これを毎回使い切りってところもすごい。
 りえちゃん、透明感のある、明晰なせりふ回し。意外とがんばってるな、という印象。「野田女優」路線を踏襲する存在感と声。何しろほっそいなあ〜。「妖精」です、全く。衣装のせいかちょっと「パック」っぽい。六平さん、よくあれだけ走れる!はるくさん、復帰しているけど、カーテンコールでは足をひきずって、舞台奥までは駆け込めず。痛々しい・・劇中では全くそんなこと感じさせないのに、かなりひどいけがだったのでしょうか。手塚とおる・・・鳥肌実かと思った。声がつらそう。でも好きだから許す。 
 遊眠社後期の代表作の再演。野田地図等近作のあからさまなメッセージに比較すると、溢れ出る言葉の洪水と同じ分量だけの余白があって、観る側の考える力や想像力が試される。ここが好き嫌いの分水嶺かとも思う。

 美しい舞台美術と実力のある役者にささえられるも、激しく応酬される言葉達には、なんとなく「こころ」が欠けている感あり。私のアンテナが低くなってしまったのか。

 
 本多劇場E列5番から。
 一言でいえば、結構グロい。でもそのどろどろぐちゃぐちゃの中にきらっと光る愛があるのはさすが。バランス感覚に溢れた狂気。脚本家としての長塚氏の本領発揮か。
 はっ!と気付くとねじれて狂っている阿佐スパテイストはベースにあるものの、荒れ狂う舞台に置き去りにされるような感覚は皆無。それでいて前半からぐんぐん引き込まれるパワフルな構成。「みつばち」のリベンジかとも思われ。
 後半は普段使わない(使わない様にしている)感情や感覚をぞわっと逆撫でされる。でもそこを不快にしない演出も素晴らしい。ラストが冗漫だというむきもあろうけど、私はあそこに究極の救いを見た気がする。いや、それとも幻想に過ぎず、現実には全く救われなかったのか。
 
 常連中村まこと、熱演。相変わらずの美声に酔う。ほんと、このひとの声は素晴らしい。「ささやき」がきちんと飛んでくる。池鉄、演技者としてのきっちりとした芝居ぶりに好感。・・・とは思えども、もうちょっとはじけて欲しかった。勿体ないような気も。贅沢な要求か?
 池田成志、バッテンとか仰天一郎等々のおポンチもいいけど、こういう芝居もいい・・・溜めて溜めて、ラストつながる。
 
 この芝居、苦手な人は最前列ではまっすぐ向き合うのはつらいかも。しかし必見。
 国立能楽堂 14時開演 脇正面7列目。
 ぎりぎりまで仕事で、ランチ抜きで能楽堂に駆け込む。開演まで20分・・・で、食堂でカレーを食す。ちょい辛口の、懐かしいカレーでした。小皿に福神漬けが添えられて700円也。
 
 「清水」 万作師の円熟した太郎冠者が見事。武悪の面を着けてからの所作がまたきまってて見応えあり。ふかたんの主も威厳があって、堂々としたもの。

 「法師ケ母」 初見。こんな素敵な曲があったとは!特に曲の後半、萬斎さんのカケリが素晴らしく、歌舞を堪能できました。派手さはないけれど、しっとりと。

 小舞「花の袖」
 裕基くん、ちっちゃい!扇は子供用ってないので、殆ど扇が舞っているかの如し。しかし4歳とは思えないキレのよい舞で、実にシャープ。扇の扱いも堂に入ってます。ああ、もう、あまりの可愛さにめろめろですわ。

 「骨皮」
 萬斎さん、こういうのいいです。どんどんズレていく感じが笑える。狂言ではめずらしく、お下品な表現もあるものの、それを下卑た感じにしないところはさすが。「法師ケ母」での情感溢れる演技との対比もまた興味深いところ。

 

能楽鑑賞の夕べ 

2004年3月16日
 練馬文化センター小ホール。下手ブロックD列10番。狂言「空腕」能「紅葉狩」。場内平均年齢50才。ほとんどおばちゃん達。「今日って能もやるのね〜しらなかったわよ〜」という会話をあちこちで聞く。

 「空腕」は初めて。相変わらずのおとぼけ太郎冠者。萬斎師、ちょっとおつかれなのか、前半はのっていない印象。後半の武勇伝はまあまあ見応えもあるものの、全体にルーティンワークな感じは否めず残念。
 「紅葉狩」は特殊演出の鬼揃で華やか。極めて劇的な内容ということもあり、謡もわかりやすく初心者にも見応えあり。鬼になってからのシャープさが素晴らしい。

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