美しきものの伝説

2004年3月9日
 紀伊國屋ホールH列上手より。遊眠社同窓会のような役者陣。みんないい役者になったなあ・・・としみじみ。段田・松澤両氏の声のデカさは相変わらず。浅野さん、年を重ねて本当にいい役者さんに。佐戸井さん、久しぶり!ぐっと押さえた芝居に存在感抜群。
 そんな訳で、役者芝居には大満足。当たり前だけど、チームワークのよいアンサンブルにちょっとうるうる。(ストーリーには全く関係なくね)・・・・が、しかし。そもそも私とマキノ演出とは相性が悪いとはいえ、全体にピンぼけ。まだ若いニッポンの熱い感じ、明治と昭和の間のモダンな熱狂、全くなし。加えて芝居と政治のどちらも半端な演出にキャラクターの魅力半減。中盤がかなり散漫でだれる。
 そして極めつけがあの選曲!!!!「春よ来い」だ!!なんじゃありゃ〜・・・最悪。インストならともかく、一気に安っぽくなってしまう。(あ、音楽としては好きだけど、あの使い方はないって話ね)誰か止めなかったのか。    
 しかも、ラストは「オイル」で富士が憑依するシーンのCraig Armstrongの「FINDING BEAUTY」だっ!まあ、B4のCMで有名だし、結構あちこちの番組でBGMにつかわれてますがね、あんなにも効果的に舞台(しかも野田秀樹)で使われたあの曲を堂々とラストにもってくる意味がわからんよ。
 
 役者の力量だけで維持されている劇空間。ああ、もったいない!!!!!

 ・・・「浪人街」ひじょ〜に不安・・・。
 パルコ劇場マチネ。上手端最前列。平日マチネらしく、篠井さん、遠憲さん、勝村さん等芝居人多数来場。いやあ、至近距離でも皆さん肌がアクぬけててきれい。ロビーでは小林薫CM出演中の「アミール」が無料配布。
 どっちかというと苦手な岩松芝居。後半、「ワニ、そうくるかよ!」という展開になるも、シンプルでわかりやすい構成。小林薫の舞台は初めてだけど、いい手触りの芝居で癒される。かっこいいです。やっぱり。はいりさん相変わらずの存在感。田中哲司、いいねえ、ミッチもいいけどああいうの似合う。悪い男だけど魅力的な感じが匂い立つ。
 「?」というエピソードもあるものの、全体の満足度はかなり高く、役者芝居を堪能。
 
 紀伊國屋サザンシアター下手前方から。東京公演初日。
 えーっと、理系サイコホラー?煙にまかれたような感覚がじわっと恐怖に変わる・・・直前に寸止め。脚本の力に演出がおいつかないもどかしさよ。G2、いっつもそうだ。小綺麗のまとまりすぎで。秋本さん、あのいらいらさせるヒステリカルなうざったさが芝居ならスゴイ。小林高鹿、もっとあやしくてもいいのに、残念。

ベルギー

2004年2月28日
・・・行きたい。去年のロンドンで初ヨーロッパだったのだが、パリでもバルセロナでもなく、ベルギー。
 欧州で人口に対して最もレストランの数が多いのが美食の都、ベルギーだそうな。ビールは800種類。素晴らしい!チョコレートはピエール・マルコリーニ。ブリューゲルの故郷でもあるし。と、いってもブリューゲルの名作の大半はウィーンにあるんだけどな。
 と、言うわけでひそかに日程の検討をしている今日この頃。夏休み期間はエアが高いし、ヨーロッパではバカンスだし。そのうえ7月下旬から芝居ラッシュだ。ハムレット・鈍獣・後藤ひろひとのパルコ等々・・・全く気が抜けない!5月中旬に短期間でさっくり行って来るかな。休めるのか?自分。
 世田谷パブリックシアターG列2番。3列目の下手端から。今回の座席構成だとこの席は意外とおいしい席なんです。ことに三番叟において。
 しかし下手通路側のこの席は当日立ち見の方々の脇ってことです。下手立ち見最前列、百一匹わんちゃん柄のロングカーディガンのちょい派手なおばちゃん、うっとおしいんです。おとなしく指定された場所に立って気配を殺して鑑賞なさりませ!いらいら。
 そのおばちゃん、それはもう動く動く動く動く。落ち着きないこと甚だしい。
 「三番叟」では、囃子方が登場して舞台の時間が流れ初めても、指定された立ち位置からかなり前方に移動して、自分の死角になっている下手側をのぞき込んだり、信じられない動き方。とにかく迷惑すぎて泣ける。舞台に集中しつつも、舞台上以外に動くモノがあるとどうしても集中もとぎれるし。揉之段中盤では遂に最前列の方に動きを手で制され、公演後はマナー違反をきっちり指摘されていました。当然だ!というか、おばちゃんににじりよられての鑑賞となってしまった最前列の人、本当に気の毒です・・・・そりゃ言わずにはおられまい。あの動きは。なにしろ本当にほんとうに迷惑だったのさ〜!会場スタッフも気を配って欲しいところだよ。ぷんすか。

 「川上」は会場のノリが良すぎて、ちょっと軽い感じ。笑えばいいってもんでもなかろうに。舞台自体は安定感抜群だっただけに、客席の軽々しいノリが残念。舞台の空気をじっくりと味わって欲しい。TVでバラエティ番組を見てるんじゃないんだからさ。

 「三番叟」は美しい装束の萬斎師を至近距離で拝見できて眼福。但しあのおばちゃんさえ視野にはいらなければ。とはいえ、今日の揉之段はぐっと地についていてよかった・・・高揚感があって、確かに「降りて」来ていたような。

 下手端は確かにオイシイ席ではありますが、やはり「三番叟」は正面で観るべきだと痛感。全体の型の美しさがねえ、どうしても脇からだと・・・。揉之段の反復のモティーフも正面からだとより効果的であることがわかります。
 
 しっかし会場側も人気公演だからって、ぎりぎり最前列まで立ち見をいれるなんて・・・配慮がないように思うのよ。全く。
 ええええええい!腹立ちや腹立ちや!!
 
 世田谷パブリックシアター0列12番。ほぼ正面後方から。
 英語字幕の日でもあり、海外のお客様もちらほら。耳慣れず、わかりにくい言い回し等々は英語字幕を見ると案外シンプルに理解できたりして重宝。
 
 「川上」では照明がドラマティックに使われていて、ホール公演ならではの演出。目があくと明るく、再び盲目になると暗く。

「なういとしいひと、こちへござれ」
「手をひいてたもれ」
「心得ました」

 ・・・なんとも心にしみいります。妻は夫の為に自分が身を引くことは一切考えない訳で、連れ添ってこそ幸せだと思っている。夫は一度離縁を考えるが、思い直し(言いくるめられ?)、また暗闇の世界に妻に手を引かれ戻る。目があいているときには見えなくなってしまうものもあるのか。見所の個々の事情や考え方によって感想も分かれるところ。

 「三番叟」は躍動感もあり見応えあり。「狂言劇場」でもAプロのほうが人気の様子。今日も当日立ち見の場内満席。
 そのダンス的な要素も魅力だけれど、個人的には装束付が能装束に準じるので華麗で好き。直面の揉之段よりも鈴之段に強い求心力がある。静から動へ、ぐっと登り詰めていき、気を放つイメージ。千歳の深田師、大役でしたが見事見事。
 ホール公演だからなのか、萬斎師からは世田パブ3階席まで言祝ぐ様な意識を感じたけれども実際どうなんでしょ。サントリーホールみたいな大会場のときは一体どうだったんだろう、なんて余計なことを考えつつ会場を後に。
 次回は下手前方からの鑑賞なので、十ニ分に言祝いでもらうことに致しましょう。
 
 仕事を猛ダッシュで終えて、なんとか滑り込みました世田谷パブリックシアターF列29番。上手ブロック端から。実にホール公演らしい客層。カジュアルな若い女の子が目立つ。真後ろの女性二人が
「このニニンバオリってさあ」
・・・凍り付く周囲。狂言の普及以前の問題だろ、それって。

 橋がかりは後方に、3方向斜めに設えられ、揚げ幕も暗幕。舞台にはワキ柱・目付柱を模した柱。

 「鎌腹」はシテの独演が見所・・・なのだろうけど、萬斎師どうもノらない感じ。とはいえ手の美しさは相変わらず。邪道ですまん。でもスキだ。通常の芝居同様に客電を落としていることもあって、舞台照明が明るすぎる感あり。ややグレアが気になる。
 「二人袴」は親、万作師がさすがの味わい。万・斎の実際の親子の組み合わせでの舞も勿論よいけど、たかのん婿もたよりなさ爆発でマル。和やかなムードのあたたたかな舞台に。「鎌腹」での微妙な不満足感も相殺され、ほっ。

 終演後のアフタートークを失礼して、三茶在住のHと「だいこんや」にて飲む。関東炊きの「ねぎま」に福島の酒「飛露喜」がうまい。フルーティだけど、味わいの深い美味しい日本酒。よきかなよきかな。

坐漁荘

2004年2月9日
 母の古稀祝いに姉・姪とともに女4人で一泊二日の温泉旅行。浮山の高級別荘地(建ぺい率10%!)の中にある「坐漁荘」へ。行き届いたサービスとお料理を堪能。
 十条「すみた」にて「おでん盛り合わせ」とビールで休日のスタート。定番「かしわおろしぶっかけ」ウマイウマイ。本日の相棒Hに讃岐うどん啓蒙。
 
 さて、池袋サンシャイン劇場マチネ。1F後方19列目やや上手寄りから。場内ほぼ満席、当日券もでているものの、空席散見。しかも今日は録画機材が入っていて、かなりの座席が設定外に。
 新感線おポンチ系最新作。オールスターキャストに客演入江雅人&阿部サダヲという豪華版。相変わらずあれこれ理屈をこねるのは野暮になる娯楽大作。とにかく目一杯楽しみました。じゅんさん、先週末の「新選組!」で見せた広岡の素晴らしい死に様と真っ向対決のキャラ。
 サダヲさんとのコンビもばっちり。第三舞台の「天使は瞳をとじて」のパロには大爆笑。入江雅人が唯一まともなキャラなのだが、もっとはじけて欲しかったかな。とはいえ、アドリブ、不意打ちなんでもアリ。休憩15分込みの3時間の長尺も、おかげさまでほとんどランナーズハイの様な状態の客席。アンコールはなんとクアドラプル。満足。
 
 終演後麻布十番に移動。「がいがい」にて痛飲。
 彩の国さいたま芸術劇場にてマチネ鑑賞。e+の得チケ当日割引でS席9000円が7000円也。チケットを引き替えてみてびっくり、E列29番と、上手端とはいえなかなかいい席。得した気分。場内S席はほぼ満席。2.3階には空席が目立つ。
 客入れの間の舞台では役者のスタンバイの様子が舞台裏の如く公開。ロビーに置かれた衣装・小道具も実際に使うものばかり。舞台上に蜷川さんも登場し、「じゃ、いいかい?よーい、スタート!」で定刻に開演。
 シンプルなセット。ドライな印象の陰影のない照明。そして小峰リリーの衣装が素晴らしい。晒したような、マットな、クリアな・・・様々な素材感と立体的な造形。「白」への多様な解釈が面白い面白い。さすが。
 パワフルな老タイタス。安定感抜群。マーカスは最初どうなることかとはらはらしたけど、後半はぐっと挽回。ぐうたら兄弟も芸達者。なにも裸にすることはないだろ〜とは思ったが。  そしてなんといっても、タモーラ!凄みのある存在感。美しく、愛に溢れるが故の残酷さを体現。花があるというのはこういう役者のことをいうんだろう。カーテンコールでのかっこよさといったら!「オイディプス王」でも萬斎さんが、このカーテンコールの素晴らしさについて触れていたけど、全くもって同感。
 横田栄司さんのバシエイナス、舞台映えしますね。素敵です・・・。
 ところで、私の席からは舞台上手裏のオペレーションや役者のスタンバイが見え隠れ。多分下手も同様かと。で、その約1メートルくらいの隙間を吉田タイタスがひょこっとのぞき込んだりしてた。

 しかし、都内から与野は遠い。いい劇場なのに惜しい。 

BENT パルコ劇場

2004年1月21日
 C列18番。e+の先行でこんなにいい席が!という位にどまんなかで観やすいパルコのベスポジ。

 なにしろキャストが魅力的。スズカツ+椎名の組み合わせなんて、最も面白かった頃のZAZOUを彷彿とさせますな〜。勿論篠井さん、誓さんと見逃せない。そして年末の「欲望・・」で印象的だった永島克さん、相変わらず容姿端麗。しかし、うーん、舞台そのものはちょいと消化不良。ウフルがパンツはいてるなんて・・・。まあ、それは仕方ないのか。それにしてもキッペイ、うすっぺらい芝居。こんなだったか?思い切りがないというか、花も毒もなし。遠憲さん、いいんだけど、「愛」が足りん。
 見目麗しく、芸達者な役者揃いなのに、このあっさりとしたベントは一体どういうことでしょか。「愛」の物語も「残酷」な物語もとてもあっさり。淡泊。なんだかもったいない感じ。ラストもなあ、なんだかなあ。脇をがっちり固めたのはいいけど、肝心の主役が・・・。
 
 ホルストを葬る「穴」は上手前方客席なので、ラストでピンクの星のついた上着を着るシーンは下手の観客からかなり観にくいのでは・・・。ラスト10分位はホルスト脇のお客さん、どきどきしただろうな〜。に、しても明らかに見切れる演出というのはどうかと。

 極めつけはホルストの最後の合図のシーンで場内に笑いが・・・・ひえ〜。あり得ない。あれで笑える神経を疑う。
 
 とはいえ、脇のおかげでそこまで悪くないんだけど、もっと、もっと!と思う2時間30分でございました。7500円は高いぞ! 

忘れてた・・・

2004年1月12日
 忘れてた・・・「透明人間の蒸気」のNODAMAP分先行発売。あああああ〜ショック。

仕事納め

2003年12月29日
 やっとこさ仕事納め。これから年賀状作成。かれこれ10年選手の愛機プリントゴッコハイメッシュの出番。
 今年の芝居は32本。休日しか時間が作れない割には頑張ってるほうか。
 李白的演劇大賞は「蜷川HAMLET」何と言っても藤原君がよかった。主演男優賞は勿論藤原竜也。次点は「オケピ!」の白井晃さんかな。「シンベリン」の佐藤誓さんもよかった。
 主演女優賞は「オイル」の松たか子・・・ってこれじゃ紀伊國屋さんと一緒だけど、まあいいか。次点は「欲望という名の電車」の篠井英介さんに。
 助演男優賞は「萬斎Hamlet」からホレイシオの横田栄司さん。貧乏くさくない華麗なホレイシオでした。本当は苦学生で地味なはずだろうけど、舞台映えするお姿に惚れた。
 助演女優賞は、「助演」じゃないかもしらんが、「萬斎Hamlet」オフィーリアの中村芝のぶさん。捨て犬のように狂乱するのオフィーリアは実は今年のMVPかも。
 ずるいキャラ特別賞は「ニンゲン御破算」のクドカン。背中に「高校教師」はないだろ〜。
  
 来年もよい芝居が観られますように。って、年明けの「止まれない12人」大阪公演に遠征するかどうか考え中。坂本@関さんの色気に惚れ直した。さすがラブハンター。
 

ア・ラ・カルト

2003年12月24日
 なんとベタな!と思いつつもクリスマスイヴのソアレ。満席の青山円形劇場。バンドの隣のFブロック15。ステージにはテーブルが3卓。
上質な綿毛布の様な柔らかで暖かい空間に陶酔。皆さん芸達者でいらっしゃるけど、陰山さんのセルジオが何と言っても最高。クールでお人好しなギャルソンとのギャップがねえ・・・すらりとしたセクシーさで、ラテン系もお似合い。惚れ直した。白井さん前半ちょっとかみかみだったけど、それもまたよし。ラストダンスの愛に満ちたおじいちゃんに涙。相変わらず肌の美しい高泉さん。山田少年もいいけど、ナチュラルな芝居がぴかぴかしている。「エレファント・バニッシュ」での使われ方が欲求不満だったので、高泉さんの魅力を満喫できてよかった。途中休憩10分のワインタイムを含めて3時間ほど。この贅沢で魅力にあふれたレストランに完全に引き込まれる。おとなって素敵。

最悪の観客

2003年12月21日
「止まれない12人」当日券をネット予約。土日に、しかも当日券で芝居観るなんて、何年ぶりだろう。1時間前に一番のりで並んでD列6番、運転席側・・・ってことは関さん至近!かなりうれしいぞ。キリヤマ隊長もひかえてるしな。前回のF列16番列車後方よりとはちがった発見があるはず♪
勿論舞台は楽しい。このしっちゃかめっちゃか加減が絶妙。が、しかし。客層最悪・・・っていうか1列センターブロック多分20番台のおまえ!!おまえだあ!「先走って笑う女」!!!しかもよく通るけたたまし嬌声。最悪。誰のファンだかしらんけど、いや、なんとなくは分かるけど、どうでもいいから舞台ぶち壊すのはやめれ。迷惑このうえなし。殺意すら抱く。「頼むからこのシーンでは先行して笑わないでくれえ!頼む〜!」・・・あえなく撃沈。
 後半最大の山場、テロリスト北川が乗客に銃口を向けるシーン・・・ここでキリヤマ登場より先に笑ったら殺す!・・・・祈りも虚しく響き渡るバカ女の笑い声。おまえ、絶対許さん。

紀伊國屋演劇賞

2003年12月18日
 今年の選考結果が発表されました。個人賞に「オイル」の松たかこさんと、「ハムレット」の藤原君。納得。

止まれない12人

2003年12月17日
 昨日に引き続き再演モノ。スペースゼロにセンターステージ設置。前回よりもなにやらグレードアップした雷神号。なんだかラグジュアリーな設え。でもテーブルが妙に質素な作りだし、ハムサンドだし(笑)飛行機並って意味では今時パーソナルTVくらいあってもおかしくないだろうな〜。
 キャストは大きくかわっているけど、久しぶりの再会になんだか嬉し泣き。やはり関さんはああいう渋めのキャラが最高に好み。G2モノでは熱狂的な「天才脚本家」のファンなのでね。極端に弱いのよね〜、あの手のハードボイルドな設定。いいわあ、独語での小須田さんとのやりとりも。それぞれの役者の個性満喫。わかっていてもはらはらどきどき。よくぞ再演してくれました。感謝感謝。
 

法王庁の避妊法

2003年12月16日
 世田谷パブリックシアター。e+で得チケが出ていたので心配していたら、案の定センターブロックにも空席がぱらぱらと。いい内容なのに残念・・・価格設定が微妙に高いからか?(¥6800)も〜みんな観に行ってくれ〜!本当にいい芝居なんだからさ・・・。
 94年の初演もかなりよかったけど、今回も劇作のよさが十分に出た舞台に。ほろほろとしてしまう、ほんとにいいお話。押しつけがましくなりがちなテーマなのに、観た後はふんわりとあたたかい後味。こういう芝居は久しぶりに観たかも。でも、あのポスターはちょっとセンスないよな〜。舞台の本質とまったくそぐわないし、アイドル芝居みたいで。
 勝村さん緩急自在。安定感のある芝居ぶり。稲森さん、すっとした佇まいがさすがに美しく舞台映え。初演の山下裕子さんのほっこりした誠実なとめもよかったけど、より凛とした強さが印象的。ルックスからくる現代的な雰囲気のなかに、素直さと葛藤が垣間見えて予想外の好演。ハナさんは10年前の故戸川京子さんが記憶に残っているので思い入れもたっぷりで観てしまう・・・ううう(涙)三上艦長はああいうのやらせたら右に出るものはいないいない。 
 ハナさんの父ちゃんは初演では久松信美さんで、なんていうか「豪華ゲスト」だったので、できれば今回もその路線だったらもっとよかった。
 ・・・あ、芝居じゃないか。ジャパンツアーも終盤の武道館に行ってきました。年齢層高くおとなな雰囲気。
 当たり前なんだけど、ギターうまい・・・。じっくり楽しめて○。

HAMLET

2003年12月2日
 シアターコクーンにて。19時開演。休憩15分を入れて終演は22時30分。さすがの長丁場。場内満員。圧倒的に女性が多いかと思いきや、ネクタイ姿の男性も目立つ。
 今年は萬斎Hamletをロンドン公演も含めて5回。この蜷川版で6本目。前代未聞の多さ。しかもこっちも河合版新訳。ついつい比較しながら観てしまう。
 ステージはセンターに仮設。通常舞台の部分に客席を設ける。私はこの「舞台側」3列目からの鑑賞。対面する客席は勿論、見上げるとBL・BR席、2階席もばっちり目に入るので不思議な感じ。そしてちょっと得した気分。
 藤原ハムレット、素晴らしい!軽やかに激しく。全ての行為に王子なりの動機と必然が感じられるハムレット像。
 杏オフィーリア健闘。声も予想外にいい。16才らしく、元気一杯。とはいえちょっとパターンにはまりすぎかな。でも愛らしいから許す。レアティーズとのいちゃいちゃした演出も、悲劇の中で唯一の幸福なシーンとして印象に残る。杏ちゃんだからこそのあの幸福感か。
 井上レアティーズ、「王子様」を払拭しきれていないものの、父と妹を失う悲しみを存分に体現。こっちも見目麗しいので許す(笑)
 小栗フォーティンブラス。こいつにデンマークまかせて大丈夫か?と思ってしまうのは声が細いからか?年齢の問題か?しかし舞台映えするのでこれからが楽しみ。
 一方、大人組は安心感のある芝居・・・というか、かなりありきたりか。若者組が新鮮なだけに残念。しかしさすがの蜷川演出。ポローニアスは冗漫で忠実な廷臣というキャラではなく、家族愛に満ちていて、後半の悲劇がぐっと際だつ。
 ガートルードも先王の死よりも前からクローディアスを関係を持っていたという設定で、女としてセクシーで強烈。母性はやや弱い印象。ハムレットとの関係性もややあっさりめか。
 そろそろらっきょさんをヌーディストとして使うのはやめたらどうかと思うぞ。
 ホレイシオとハムレットの関係がやや希薄。高橋ホレイシオは慈愛に満ちていて、きっちり場をひきしめていただけに残念。萬斎ハムレットと横田ホレイシオの濃密な信頼関係が個人的に好み。横田さんの「おやまあ、殿下」ってのが好きだった。
 そうそう、例の「スポンジ君」の台詞はカットだった(笑) 
 

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