マングローブカフェ

2005年5月23日
 バリの焼酎「アラック」飲みたさでマングローブカフェに。

 一昨日に来た時は満席。さらにはモンスーンカフェにすらフラれ、結局YGPの「音音」でお茶を濁したので本日はリベンジ。

 こじんまりした空間。完全禁煙と心地よいライティングがうれしい。ゴイクンも美味。雨男とここに来るのはほぼ一年振りかな。

 タイガーで喉を潤したあとは「アラック」一辺倒。これこれ。ココナツの風味にゆるゆると癒される。ああ、美味しい。

 キンキン声で喋り倒す女さえいなければ完璧に近い極楽モードだったのだが。(挙句の果てにワインぶちまけてた・・・)

 ここはほどよいざわつきが似合うちいさな店なのだ、頼むよ。ほんと。いい年してるとお見受けしましたが。

 すっとよく通る声は長年のあこがれだけど、あれじゃ魅力なにもあったもんじゃないのだった。勿体無いなあ。

中目黒「七舟」

2005年5月20日
 中目黒にオフィスが移転。かのGTタワーの住人になってはや2週間。で、この間のランチはといえば、階下にあるプレッセ(東急系多分狙いは紀ノ国屋あたりの高級スーパー)で買うお惣菜で・・・・って感じ。ああ、なんてこと。

 で、今日はじめて後輩と外メシしてみました。

 凄い「さしみ屋」があるとは聞いていましたが、本当に凄かった「七舟」。GTタワーから程近く、小さな居酒屋。ランチはきっぱり刺身のみ!(おそらく夜もそうだろう)

 もう、とにかくすごいボリュームです。洗練とは全く逆ベクトルの攻撃的な「刺身」。これでもか!の殆ど漁師料理。釣り船の上で頂く朝ごはんですわ、これは。

 もう刺身はしばらくいいです・・・。

「メディア」

2005年5月18日
「メディア」
シアターコクーン 14時開演 2階A列25番

 イオルコスの王子イアソン(生瀬勝久)は、叔父ペリアスに王位返還を求めていた。ペリアスは王位返還の条件としてコルキスから黄金の羊毛を持ち帰ることをイアソンに命令する。彼はコルキスの王女メディア(大竹しのぶ)に助けれられ、それを成し遂げるがペリアスは王位返還を拒否。メディアは魔術を使って彼を殺し、その罪でイアソンとメディアはコリントスに亡命することに。ふたりの子供にも恵まれ質素ながらも幸せな生活をしていた。
 しかしコリントス王クレオン(吉田鋼太郎)はイアソンを娘婿にと望む。地位と名誉、そして花嫁の若さと美しさに目がくらんだイアソンはその縁談を承諾。イアソンの心変わりをなげくメディアに、さらにクレオンがメディアと子供たちに追放の命令を出す。
 夫に全てを捧げながらも裏切られるメディア。復讐を心に誓う彼女は、イアソンの新妻とその父クレオンを呪術で殺害。復讐の仕上げは、自らがイアソンとの間にもうけたふたりの子供を殺すことにあると決める・・・。

 本水が舞台を覆う。役者は終始水の中を動く。水が揺れ、水音が響く。階段やらフェンスやら壁なんかで役者の動きに制約を求めてきた蜷川演出。今度は水とは。
 ギリシャ悲劇では「オイディプス」「タイタス・アンドロニカス」と、クールでドライな舞台が記憶に残るけれど、ギリシャというよりも、熱帯雨林の湿った空気感が漂う。今回は羊水のなか、もがく印象。

 女優・大竹しのぶ。役を離れて、カーテンコールで「大竹しのぶ」として石段をひょこひょこ歩く姿と、メディアに入っている時の所作の違いに、この人のすごさを感じる。

 生瀬さん。こういうシリアスな役の方がはまるかも。

 吉田さん出番こそすくないけれどきっちり存在感。

 ギリシャ悲劇になくてはならない「報告者」は横田栄司さん。相変わらず素敵。

 壮絶な話だけど、メディアは真実と真っ向勝負しているだけ。そこに突き抜けた爽快感すら感じる。

まちがいの狂言

2005年5月17日
「まちがいの狂言」
世田谷パブリックシアター 19時開演 1階O列24番

 ご存知シェイクスピアの「間違いの喜劇」に題材を取った新作狂言。これで再々演。 
 
 やはり劇作の素晴らしさが光る。でもさすがに3度目になると新鮮さも失せるし、アンサンブルがぴしっと決まってないような、細かなところも散見。ちょっと荒さが気になる舞台。再演するなら、精度を高めて欲しいなあと思う。

 しかし、ややこし隊もメジャーになりましたねえ。

 

「ゴールド秘酎」

2005年5月15日
なんとも凄いネーミング。ラベルも勿論ゴールド。秘酎ですよ、「秘酎」。これがこないだ後輩が持参してくれたおすすめ焼酎。やわらかな口当たり。ブランデーのようなほのかな甘み。米焼酎なのに果実味すら感じる。これはかなり美味しいです。

 会津若松の「榮川」の焼酎。一年間シェリー樽でねかしているそうな・・・なるほどね。で、これが酒粕が原料の「粕取り焼酎」なのだ。

 「粕取り」・・・・?「カストリ」?

 終戦直後の粗悪なお酒のイメージが覆されること間違いなし。「カストリ」なんて映画や本の世界の中だけで、勿論体験したことはナシだけど。

 雨男と待ち合わせて食事。今日は恵比寿「鐡玄」でジンギスカン。中目黒の繁盛店が恵比寿進出。
 狭い店内。たまたま空いていたカウンターにすべりこむ。ストレスなく食事が楽しめるお店。うちの近くなのでうれしい。食べて飲んで一万円也。

 野菜も食べられるし、サイドメニューもいろいろだから、肉食な気持ちのときは焼肉よりこっちがいいなあ、雨男。
 
 で、彼にも飲んでもらいました、「ゴールド秘酎」。味とボトルのルックスのとのギャップだけで小一時間盛り上がる。
 
 楽しかった。でも楽しい時間はすぐ過ぎる。

光がさす。

2005年5月12日
 今朝起きたら、精神的にすっきりしていた。つい数時間前、眠りにつくまでもんもんと考えていたことが嘘みたい。この数週間の落ち込みが嘘みたいな晴れ渡った気持ち。

 状況は何ひとつ変わってないけど、むくむくとやる気と教育アイディアが浮かぶ。

 この感じはなんだろう。仕事の神様は、きっと何かを試したくて、私はようやくその門をくぐったってことだろうか。

 夜、年下の友人が美味しい焼酎を抱えてやって来る。私のダメージが大きいらしいと聞き及んでか。そんなことは一言も口にしなかったけど。

 ありがたいこと。さらに元気が出るいいお酒と思い遣りに感謝。
 

勤続疲労

2005年5月11日
 どうやっても、気分転換ができない。芝居観てないせいもあるだろうけど、気持ちがまったく開放されない。

 プライベートで悲しいことも重なる。そうでもない事も、必要以上にかなしく感じる。

 仕事は仕事でしか挽回できない。わかってるからまた頑張るけど、先の見えない日々は続く。
 
 かなりつらい。
 
 今日も一日ぼーっと過ごしつつ、6月に取る予定の5日間のお休みのプランニングをする。ニューヨークか石垣か・・・。先月が忙しかった分、石垣経由竹富島・波照間島という極楽パターンに傾いている。自分にはニューヨークに行くエネルギーが残ってない感じなのだ。
 島根に帰ろうかなあとも、ちらりと思う。

 海がみたい、海が。

 お昼ごはんはお気に入りの「三輪素麺」でさっぱりと。今年初素麺だ。
 
 で、またもや恵比寿三越へ。今日は昨日買ったワインに合わせてイタリアンと決めて財布を持ってお買い物。

 部屋を片付けていたら出てきた随分前の「デリシャス」のパスタ特集号。「セロリと長ネギのパスタ」がおいしそうだったので、セロリをカゴに放り込む。
 
 魚は・・・本日は養殖だけど真鯛がよさげだったので、ソテーにすることに。

 今日のパスタはかなり美味くできました。長ネギとセロリをたっぷり刻んで、ブロックベーコン少しとオリーブオイルでしんなりするまで炒めたら、トマトソースで。

 ちなみに、パスタはバリラ社を愛用。つるっとしたなめらかな舌触りが大好き。それでいて「粉物食べてます!」という食感と味わい。
 
 鯛のソテーもよかったけど、今日のパスタは上出来!たまに料理の神様が降りるときがあるけど、今日がそうだったのか。

 でもね、今日みたいな「ひとりゴハン」のときじゃなくて、雨男と一緒にごはん食べるときにめがけて降臨して来て欲しいもんですよ、神様。ばかばか。
 
 

金目鯛とアサリ

2005年5月3日
 休日。世の中の人が休みの日に、自分も休むなんて久しぶり。ああ、身も心も完全に休日モード。

 いい天気の中、惰眠をむさぼる贅沢の後、ガーデンプレイス三越に買い物。
 YGPには期間限定で「Rody」が1000匹大集合していた・・・大きいの、ちいさいの、カラーも様々。休日ともあって、子供がわんさかRodyの背中にのって跳ねまくる様も圧巻・・・。

 中島水産で金目鯛の切り身と千葉産のアサリを購入。それと春キャベツ。
 ワインはいろいろ考えた挙句、イタリアのヴェルデッキオ・クラシコ。ボトルの形が独特。憧れのアドリア海に面したマルケ州のワイン。
 アドリア海、と聞いただけでうっとりなのでした・・・。

 まだまだ陽が高く、青空がきれいなうちからビール。ああ、幸せだあ。

 まずはキンメ。しなびかけていたゴボウと煮る。勿論ビール飲みながら魚の面倒を見る楽しさよ。
 煮魚はさっと霜降りにして、一旦氷水でしめてから強火でがっと煮るとパサつかずにしっとり仕上がる。美味美味。

 ワインに切り替えて、アサリとキャベツをぺペロンチーノ風に。先日行った「タケハーナ」のアイディアを頂きました。

 ワイン飲みながら、アサリが口を開くのを眺める。極楽。

引越し

2005年5月2日
 会社の事務所が中目黒に移転。とにかく慌しかった数日も、レイアウト決めて、荷詰めして業者さんにおまかせしてしまえば、案外喉元過ぎる。

 体力気力を使い果たしてよれよれになりつつも、なんとか最後に自分の荷物をまとめて事務所を出る。10年間通ったこのビルにもサヨナラだ。

 いろいろあったなあ、などとほんの少し感傷的。

 仕事でどん底までへこむこと1回。結婚1回。離婚1回。

 これってかなりいい感じ。人生の「足場」を固めるための10年。そして人間関係に恵まれた10年。仕事でもプライベートでも、悲しいこともうれしいことも、失敗も成功も、必ず受け止めてくれるひとがいたことへの感謝。

 22時過ぎに雨男と待ち合わせ。焼肉リクエストに従う。彼の場合、定期的に「焼肉リクエスト」の日があるんだなあ、これが。もうそういう年齢じゃなかろうに。妙なところに感心。

 で、恵比寿のトラジ「園」。最近トラジはやたらと増殖中で、ついにホノルルに出店したそうな・・・。

 雨男と一緒のヤキニクでは頼まないコムタンクッパに逃げるあたりがカラダが弱っている証拠かな。元気なときなら辛いテグタン。
 テールスープにハチノスが美味ナリ。

 食事の後に事件発覚。

 今頃きっちり養生されて搬出を待つ自分のキャビネットに仕事で使う手帳と財布を置き忘れてきたことにはたと気づく!!

 深夜の事務所に飛んで戻って、無事確保。

 ああ、何たること。本当に疲れていたんだなあ、自分。

 

 

BASIA

2005年5月1日
 自分が新人の頃に聴きこんでいたBASIA。そういえば長い沈黙を破って、3月末にマットビアンコに復帰して来日していたのだった。

 懐かしさも手伝って、猛烈に聴きたくなる。amazonでCD購入。当時大好きだった「London Warsaw New York」とベスト盤。

 音楽のすごいところは、記憶を呼び覚ますところだと思う。ふうっと22歳の自分に戻る。しかも、かなりクリアな感覚。

 そうなのだそうなのだ。若いということは、案外ぼんやりとしていて、ココロに贅肉がたくさんくっつていることなのだ。

 
 相手は新人さん。教育には自分のスキルも試される。

 仕事柄、平面的に表現されたものが、立体としてイメージできないことにはスムーズに事が運ばない。自分には取り扱っている商品の「3D」のイメージがあるからといって、同様の能力がみんなにあるとは限らないことを今更ながら痛感。

 そうだよなあ、無理もないよなあ、と思いつつも、どうやったらその感覚をつかんでもらえるのか、自分の指導技術がとても浅いことを痛感する日々は続く。

 彼女も、人生の中で考えたこともない事柄や、いままでの生活では考えも及ばない感覚に戸惑っていることだろう。それを思えばがまんがまん。

 あの子は「自分」じゃないんだから。

 仕事の神様に試されているなあ、と感じる今日この頃。

 

 

エルトン・ジョン

2005年4月27日
 ついに同性婚するらしい。しかも挙式はウィンザーだそうで。エルトン、素敵だ・・・記事からは、晴れて結婚できるわくわく感が伝わる。結構なおっさん二人なんだけど、いい話だなあ。

 以前は二人の結婚に関して、「愛と信頼があるから、紙切れなんてどーでもいい」と発言していたパートナーのファーニッシュ氏ではありますが、彼らにとって法的に認められるということは、より深い絆を確認できる素晴らしい出来事にちがいない。税金も控除されるし。とにかく祝福。

脱線

2005年4月25日
 とても悲惨な事故が起きた。阪神大震災の時もそうだったけれど、はっとして安否が気になる友人・知人、その家族が沢山住むエリアの話。今回は三田だったり川西だったり。JRは使っていなかったのだっけ・・。とにかく気持ちが落ち着かない。

 幸いにも悲報は耳にしないまま今に至る。

 だだ「電車」に乗っていただけなのに。そう思うと胸がつぶれそうになる。ちょっとした気分でいつも乗る車両を変えた人もいるだろう。全てはその人に与えられた運命だとは思うけれど、やるせない気持ちになる。

 その一方で、亡くなった方がどんどん増えること、その凄惨なニュース性に、単なるウオッチャーとして興味深深な態の自分もいる。日航機墜落の時も、震災の時も、勿論9.11の時も、全部そうだった。経験したことのない衝撃を求める自分。それでいて安穏と生を享受し続ける、そんな自分の醜さを実感する瞬間。

日々忙しい

2005年4月23日
 新人がべったりな日々なので、沈黙して仕事に没頭する時間が殆どない。定時で彼女を帰らせた後に、自分の仕事にようやく専念。お日様が昇っているあいだはレクチャーでしゃべりたおしている有様。年も年だしさすがに疲れるわ。

 久々に、そうね、自分の直属の後輩としてしっかりと預ったのは5年ぶりの新人さん。こういう言い方は不適切だと思うけどさ、最近の子は刃物の使い方さえ知らないのかとびっくりだ。カッターもはさみも、てんでダメなのだよ、これが。それなりの大学で国際問題を論じる能力と、目の前の紙を「まっすぐ」切る能力は等価値だと信じる私には衝撃的な不器用さ。おうちで習わなかったか?刃物の使い方。
 いつかこいつは絶対ケガするなあ、と思いつつ、ともかくカッターやはさみやステープルの使い方を教える新人教育って何だ一体。そんなの家で教えとけってば。それともヤツはまれにみる致命的な不器用ちゃんなのか???

 あああ、いかんいかん。こころがせまい。

 アサリが旬です。春キャベツとあわせてボンゴレにしました。身がぷっくりとして幸せな美味しさ。

 よし、明日からまたカッターの使い方教室だ。
 
「コミュニケーションズ」
東京新国立劇場 小劇場 14時開演 
        B1列14番 下手ブロックセンター寄り通路側

構成・演出 : 渡辺えり子
作 : 綾田俊樹 いとうせいこう ケラリーノ・サンドロヴィッチ 杉浦久幸 高橋徹郎 竹内 佑 鄭 義信 土田英生 別役 実ふじきみつ彦 武藤真弓 筒井康隆(原作使用)

出演:綾田俊樹 石井里弥 円城寺あや 片岡弘貴 金内喜久夫
   神保共子 腹筋善之介 矢崎 広 山崎清介

 現代劇作家のショートコントの競作を渡辺えり子が構成・演出。大御所から若手まで、一見豪華。役者も魅力的な布陣。

 結論から言うと、笑えない。

 演出は漫才的な笑い・落語的な笑い・シャープで都会的な笑い・・・のごった煮を目指したらしいんだけど、生真面目さが災いしてか、空回り。総じてノリきれない感じ。
 一貫して底辺を流れる「不条理」と相反する、妙にあまったるく、ノルスタジックな演出がもどかしい。
 
 役者はいいのに、もったいない。
 
 東京国際フォーラム ホールA 19時開演

 雨男と楽しみにしていたノラ・ジョーンズ。今日は雨は降らなかった。

 ライブの前に軽く食事を、ということで国際フォーラム前の新国際ビル地下のヴァン・ピックルに。
 軽く、とかいいつつも、ほうぼうの炭焼きにホワイトアスパラ、鶏レバーのムースに焼き物少々、ワインに合わせてチーズ。結構しっかり食べてしまった・・・グラスワインもお代わりを重ねてかなり満足。ふらっと入った店だけど、結構面白い。

 ライブは気づいたら2時間経っていた、って感じのリラックスしたムード。裸足で軽やかに、でもしっとりと濡れた声で歌うノラ・ジョーンズ。ワインの酔いも手伝って、ふわんとした雰囲気で幸せ。

 今日はアニバーサリーなので、それらしいことをしよう!という雨男の提案により、部屋でヴーヴ・クリコをあけて乾杯する。

指輪

2005年4月14日
 雨男がプレゼントしてくれた指輪のお直しが終わって、やっと私のところに帰ってきた。

 本当は寝ても醒めても身に着けていたいけど、とても繊細なデザインなので泣く泣くはずしている。

 でも、うれしい。

 

ラーメンズ「ALICE」

2005年4月13日
 下北沢 本多劇場 19時開演 E列4番

 ご存知ラーメンズ。本公演をナマで観たのは実は初めて。

 「バニー部」最高。賢太郎さんのあの素敵な「ラディチ」にくらくらしてしまいました。

 不思議の国ニッポン。ああ、これをナマで観て大爆笑できるなんて、本当に幸せです。くまぽーん!!

 ああ、笑った笑った。

 さらに代沢の「タケハーナ」で美味しいひととき。この店は、こころからゆるゆるとくつろげる。あたたかい素人っぽさのある無国籍料理、でも、とびきり美味しい。オクラのピクルスは絶対食べる。(この日はリピートまでした)まるで料理上手の友達にご馳走してもらってるみたい。
「ルル〜破滅の微笑み〜」
世田谷パブリックシアター 19時開演 I列23番

 原作はヴェデキントのルル二部作「地霊」「パンドラの箱」。退廃と倒錯の物語を白井晃が演出。なにしろルルに魅入られた男は破滅の道を歩み、まさに二時間ドラマばりにどんどん死んでしまうというオハナシ。白井さんの美意識がどんな形で反映されるのか、とても楽しみにしていた舞台。

 大きく張り出した舞台。シンプルかつクールな舞台装置。F列が最前列。
 ACT(芝居)とIMAGE(映像とダンスのミックス)で紡ぎだされる、コンテンポラリーな構成。振付はイデビアン・クルーの井出茂太。音楽はnido・・・そう、一行さんのご子息・ドラゴンアッシュの古谷建志のユニット。武田真治も参加してます。

ACT1:撮影スタジオ
 新雑誌のグラビアモデルに新妻ルル(秋山菜津子)を選んだ編集長ゴル(小田豊)。カメラマンのシュバルツ(みのすけ)はルルへの思いを抑えられずルルに迫る。ゴルはその場面を目撃し、激しい怒りから発作を起こして絶命。

IMAGE1:抱擁  シュバルツとルルは愛を交わす

ACT2:シュバルツ家のリビング
 ルルはシュバルツと再婚。ルルをミューズと崇める夫の知らないところで、ルルの父親を名乗りながら彼女との関係をほのめかす男、シゴルヒ(浅野和之)が出入りしている。そこへルルの育ての親であり、長年の愛人である新聞社社長シェーン(古谷一行)がルルとの決別のために現れる。
 シュバルツはシェーンからルルの素性と自分の結婚に関する真実を聞かされ、衝撃に耐え切れず首をかき切って自殺。

IMAGE2:レクイエム 歌うルル

ACT3:劇場の楽屋
 ルルはシェーンの息子・アルヴァ(増沢望)が演出する舞台に出演している。楽屋には詩人ゲシュヴィッツ(根岸季衣)をはじめとして、パラオの富豪エスツェニールらルルを求める人がやってくる。
 舞台上でルルは突然倒れる。客席にシェーンと、その婚約者の姿をみつけてしまったのだ。ルルと激しく言い争うシェーンは、ついに自分がルルから離れられないことを認めて婚約者への絶縁状を書く。

IMAGE3:フォトフラッシュ ルルと男達のイメージ

ACT4:シェーン家のリビング
 ルルとシェーンは結婚。安らぎある余生を望むシェーンの気持ちに反して、家には様々な人間が出入りしている。
 頻繁に現れるゲシュヴィッツ。芸人のロドリーゴ(石橋祐)、ルルのファンの青年フーゲンベルグ(まるの保)、そしてシゴルヒ。シェーンの息子アルヴァもルルへの愛を告げる。
 一部始終を見ていたシェーンは、ルルと別れる最後の手段として拳銃でルルに自殺を迫る。しかし追い詰められたルルはシェーンを撃つ。

IMAGE5:審判 ルルの夫殺しに対して証言が繰り広げられる。ルルは投獄。

ACT5:アルヴァ家のリビング
 ゲシュヴィッツの計画により、ルルの脱獄が図られる。ゲシュヴィッツの自己犠牲により、シゴルヒがルルを連れ帰る。アルヴァはルルに愛を誓う。

IMAGE5:逃亡 アルヴァとルルの逃避行

ACT6:ホテルのサロン
 逃避行にはシゴルヒ・ゲシュヴィッツ・ロドリーゴも加わり、ホテルに身を隠す。華やかなパーティには銀行家や投資家が集い、株券を賭けたバカラに興じている。
 ルルの愛人カスティ・ピアーニ(岸博之)は実は売春斡旋人。彼女を売春宿に売ろうと企み、追い詰められるルル。
 そのとき、アルヴァの持ち株が大暴落。彼は全財産を失う。

IMAGE6:漂流 金を強奪しようとしたロドリーゴを始末し、逃亡はさらに続く。

ACT7:屋根裏部屋
 街には切り裂きジャックの噂が流れていた。みすぼらしい屋根裏部屋に身を寄せるルルと男達。全てを失った彼らは、ルルを娼婦にして街に立たせる。次々と客を引き込むルルと無力な同居人達。ルルの愛を得られず、全てに絶望したゲシュヴィッツは自殺を図る。
 その日、最後の客、シェーンの面影をたたえたジャック(古谷一行)が現れる・・・。

 休憩込みの3時間超。終演は22時10分。その後のアフタートークは白井さん・秋山さん・古谷さん。司会は北九州芸術劇場のプロデューサーの能祖氏。ルルの脚本も書いていらっしゃいます。劇場を出たのは22時30分過ぎ。

 いやあ、「濃い」です。白井さんの美意識が貫かれた、想像力をかきたてられる余白のある舞台。しかし散漫さは微塵もなく、整理された脚本に、明快な演出意図。

 男を翻弄しているようでいて、ルルはあくまでも自分の気持ちに無垢に生きているだけ。「悪女」はあくまでも男の主観でしかない。ルルのそうした悲劇の一面を感じさせながら演じきった秋山さんに拍手。
 古谷さん、さすがにしぶい・・・ルルならずも惚れる。ジャックの狂気も、香り立つようなエロティックさで魅せてもらいました。声もいいし、もっとこのタイプの芝居に出て欲しい。
 そして増沢さん。増沢さんのサイトからこのチケットを取ったら、直筆サイン入りのポストカードが同封されてきました・・・ははは。お育ちのいいアルヴァがルルとともに落ちていく様がたまりません。いつ拝見してもカッコイイ。
 シゴルヒ・浅野さん。他の役者では考えられないほどのはまり役。場を引き締める芝居は勿論のこと、ダンスでの切れはさすが。50代なのに、あの身体能力。

 運命のオンナ=ファム・ファタールという言い方はあるけど、じゃ、「運命のオトコ」っているのか?女性のほうが現実的な生き物なのか?「運命の女」を求める男達は、女と落ちていきたいという夢をみているだけなのか?
 
 

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