シアターコクーン 14時開演 
   エリア指定65番(波打ち際から2列目端)
   楽日なのに、座席にはちらほらと空席が。うう、勿体無い!!

あの女:小西真奈美
とんび:野田秀樹
水銀 :大倉孝二
赤鬼 :Johannes Flaschberger

 村人に疎んじられる「あの女」とちょっと頭の弱いその兄「とんび」、女につきまとう詐欺師まがいの男「水銀(ミズカネ)」が暮らしていた海辺の村に、異国の男が打ち上げられたことから物語が始まる。
 「外国人」という概念すらない村人達は言葉も通じない異形の彼を「赤鬼」と呼び、恐れ、ある時はあがめ、最後には処刑しようとする。
 彼と唯一話ができるようになる「あの女」も赤鬼と通じた咎を受け、同様に処刑されそうになる。「水銀」と「とんび」は捕らえられた二人を救い出し、赤鬼の仲間の船が待つ沖に向かって小船を漕ぎ出すが、船影はすでになく、四人は大海原を漂流する。そして・・・。

 ちいさな島の形の舞台。周囲には色とりどりのガラス瓶。役者との距離は限界までに近い。

 超高速で回転する物語。しかし極めてシンプルなストーリー運びと、まっすぐな台詞が胸をえぐる。野田芝居独特の言葉遊びもエッセンスのみで、すべての言葉が流れるように耳に響く、まるで音楽。無駄の一切ない、なめらかさ。そしていつのまにか大きくこころを揺さぶられる。自然と涙。
 ただのうめき声だった赤鬼の言葉が、突然耳に覚えのある英語になったときの、あのはっとした感じ。言葉が理解でき、気持ちが通じた時の喜びと、誤解することの恐ろしさ。言葉が感情をつくる。

 4人の役者、皆熱演。
 小西さん、体のキレもよく、幅の広さを感じる。
 大倉さん、野田式に溺れず、あくまでも大倉孝二だった!これはすごい。
 ヨハネス氏、表情豊かで、大柄な体を存分に使った芝居が愛らしくも、なんとも知性的な赤鬼。その分あの悲しいラストに胸がつまる。
 野田さん、体の衰えは、そりゃ仕方ない。でも若者に負けずにくるくる動く動く。

楽日ということもあって、カーテンコールはなんと7回。誰もが舞台の余韻に身を沈めつつ、あたたかくも惜しみない拍手。最後は場内総立ちの拍手に迎えられ、野田さんソロのご挨拶で幕引き。
 
 映画でもコンサートでもない、芝居からしか感じることのできない感動に深く感謝。

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